電磁的記録提供命令に対する罰則が罪証隠滅の防止のために必要だというのがその罰則を設ける根拠になっているわけですけれども、しかし、よく考えてみれば、通常の捜索差押えの場合も、それから今回の電磁的記録の提供命令の場合もそうですけれども、既にその提供をしたことによって、あるいは差押えをしたことによって、主たる証拠については捜査機関が確保しているはずなわけです。したがって、その残された部分について証拠隠滅、罪証隠滅の危険というものが具体的、現実的な危険として一体本当にどの程度あるのかということをやはり厳密に考えてみる必要があるように思われます。
そうすると、これまでの通常の捜索差押えにおいては、残された証拠があり得るとしても、それが、第三者から被疑者等にその情報が伝わったとしても実効的な罪証隠滅につながるリスクというのがそこまで大きくないというふうに考えられていたのではないかというふうに法律の立て付けとして考えることができると。そうだとすると、電磁的記録提供命令についても同じことが言えて、必ずしもこの場合にだけ罰則を付けないと罪証隠滅の現実的なリスクを阻止できないということにはならないのではないかというふうに考えます。
15成成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授
先生が御指摘のとおり、現在の刑事訴訟法におきましては、捜索差押えを行った場合に、その被処分者が当該差押えがあったという事実を第三者に告げるということを止めるような規定というものはございません。ですので、現行法においては、捜査機関が捜索差押えを実施する場合には、そのような事態が発生し得るということも念頭に置いた上で、いつのタイミングでその強制捜査に着手するかということを考えているものというふうに理解しております。
それに対しまして、今回の電磁的記録提供命令というのは、むしろその現場に対する捜索差押えを行うよりも更に前の段階で事前にある程度情報を把握してお…
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古庄玄知(自民)
今の成瀬参考人の御意見を聞いて、河津参考人と渕野参考人、どのようにお考えなのか、お考えを聞かせてください。
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17河河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長
電磁的記録提供命令によって電磁的記録の提供が行われた場合に、その事実を犯人に知らされることによって捜査の妨げになる場合があるという一般論の限度では理解できないわけではございません。
ただ、今、古庄委員御指摘になったとおり、それは従来の捜査手法においても同じことは起こり得たはずであり、その電磁的記録提供命令というのが従来の捜査手法よりもより初期の段階でのみ用いられる捜査手法でないことも考えると、この制度に限って秘密保持命令を罰則付きで設ける合理性というのは必ずしも十分ではないのではないかと個人的には考えます。
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- (上の発言)
18渕渕野貴生立命館大学大学院法務研究科教授
電磁的記録提供命令に対する罰則が罪証隠滅の防止のために必要だというのがその罰則を設ける根拠になっているわけですけれども、しかし、よく考えてみれば、通常の捜索差押えの場合も、それから今回の電磁的記録の提供命令の場合もそうですけれども、既にその提供をしたことによって、あるいは差押えをしたことによって、主たる証拠については捜査機関が確保しているはずなわけです。したがって、その残された部分について証拠隠滅、罪証隠滅の危険というものが具体的、現実的な危険として一体本当にどの程度あるのかということをやはり厳密に考えてみる必要があるように思われます。
そうすると、これまでの通常の捜索差押えにおいては、残された証拠があり得るとしても、それが、第三者から被疑者等にその情報が伝わったとしても実効的な罪証隠滅につながるリスクというのがそこまで大きくないというふうに考えられていたのではないかというふうに法律の立て付けとして考えることができると。そうだとすると、電磁的記録提供命令についても同じことが言えて、必ずしもこの場合にだけ罰則を付けないと罪証隠滅の現実的なリスクを阻止できないということにはならないのではないかというふうに考えます。
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古庄玄知(自民)
時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。
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田島麻衣子(立憲)
ありがとうございます。立憲民主党の参議院議員の田島麻衣子と申します。
本日は、三人の先生方、本当に大事なお話をありがとうございました。特に、はるばる遠方から来られた参考人の方もいらっしゃって、心から敬意と感謝を表したいと思います。
私は、まず成瀬参考人に対して、通信の秘密について伺いたいんですが、先ほどお話の中で、憲法で保障される通信の秘密というのは令状主義による事前のチェックが入るので、これは不当に制約されるものではないというお話を伺ったと思うんですが、その後、河津参考人のお話にもありますとおり、令状が出た件数、二十五万件要請されたうちの却下された…
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21成成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授
お答え申し上げます。
先ほど河津参考人の方から令状発付の件数あるいは令状却下件数について御紹介がありました。
ただ、私の認識するところでは、そもそも捜査機関側が裁判所に令状を請求するかという時点で、相当内部的なチェックが行われた上で初めて裁判所に請求が行くというふうに理解をしております。さらに、裁判官が令状を発付するとしても、捜査機関が請求してきた内容どおりに発付しているというふうには必ずしも言えませんで、請求してきた内容の中でも、被疑事実との関連性が薄いと思われる場合には差し押さえるべきものから排除するなどの判断をした上で、厳格な審査をした上で令状…
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