酒井啓亘早稲田大学法学学術院教授

2025年5月8日・第217回国会 参議院 内閣委員会 第12号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 112 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 140 発言)

御質問ありがとうございます。

恐らく、どういう措置を制度設計して、それを運用していくかというのは政策の問題だと思いますので、国際法の観点から言えることというのはそれほどないんですけれども、もちろん、例えばイギリスだとか、先制的に予防的にその措置をとるのではなくて、それもあるんだけれども、むしろ起こった後、こちらが危害を加えられた後のことを考えて対処をするんだということを視野に入れた政策を取るという国も幾つかあると思います。それは、その国それぞれの考え方の違いが反映されている、力点の違いというのでしょうかね、というのがあると思うんですね。

日本はその点、本当は全般的にもちろんサイバーセキュリティー能力を向上しなきゃいけないわけですけれども、今回特にここで審議いただいているのは能動的サイバー防御であって、予防的にこちらが危害を受ける前にいろいろなことができないかという点に力点を置いて判断をしているということだろうと思います。

国際法の観点からすると、何度も繰り返し御質問いただいたり、あるいはこちらが答えているように、国際法規則がまだ未整備だったり、あるいはこれから発展途上だという分野であるということは、それはいい意味、いい点と悪い点と両方あるんだろうというふうに思うんですね。つまり、日本がこの法案を成立させて国家実行をつくっていくことによって自らの国益に応じた国際法規則というものを作っていく契機になるという点では非常に重要なポイントではあろうと思いますし、逆に、それはどの国もそういうふうに思っているということもまた言えるわけであって、いずれの国ともやっぱりその点、考え方が抵触する、あるいは考え方がぶつかり合うということはどうしても出てくるだろうと。その中で日本が果たす役割というのを考えていかなきゃいけないという点を抜きにしては政策決定というのはなされないだろうなというふうには個人的には思っています。

諸外国と比べてどの点が日本のそのやり方にいい点と悪い点があるのかという御質問については、私はそこまで申し上げる能力というのは残念ながらありませんので持永参考人の方に渡したいとは思いますけれども、国際法の観点からすると、今申し上げたように、国際法上の根拠がなかなかはっきりしない中で船出をしていかなきゃいけないこの法とその実行をどういうふうに動かしていくのか、今後のその運用次第で今申し上げたプラスの面とマイナスの面というのが出てくるのではないかというふうには思っています。

以上が私からの答えとなります。

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