山本隆司東京大学大学院法学政治学研究科教授

2025年5月23日・第217回国会 参議院 消費者問題に関する特別委員会 第7号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 18 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 80 発言)

今御指摘がありましたように、配置転換に関しましては、これはいろいろな意見がございました。

一つには、今回、その解雇あるいは懲戒について、立証責任の転換あるいは刑事罰を入れたことによって何か配置転換の方に行ってしまうんじゃないかというような議論もございました。

ただ、この点に関しましては、一つは、立証責任の転換に関しましては、確かにこれは、要するに分からないときにどちらに判断をするのかという問題ですので、普通は白か黒かというふうになかなか割り切れないところのゾーンの話です。解雇あるいは懲戒について立証責任の転換が行われたということによって、立証責任は配置転換については確かに転換されないとしても、主張や立証はしっかりとやっていただいて、それで裁判所がそこのところを注意して見るというような効果は出てくるだろうというふうに考えました。

それから、刑事罰の方は、これは黒か白かはっきりしている話で、配置転換の場合にはおよそ刑事罰は科されないということになりますので、そういうことではあるのですけれども、これは要するにメッセージの仕方が非常に重要になってくるかというふうに思います。

つまり、消費者庁の方で、もし今回その法改正が成りましたら、通報を理由にした配置転換は別に許されるという意味では全くないわけですね。これは違法だというふうに法律の中にも書いてあるわけでして、それが極端な解雇とか懲戒という形を取ったら刑事罰まで科されるものだと、それだけ違法な行為なんだという形でそのメッセージをしっかりと出していただくということが重要なんじゃないかというふうに思っております。

議論の推移に関しましては、先ほど申しましたように、我が国の労働関係の実態であるとか、それからその労働法制の全体を見たときにどうなのか。確かに公益通報者保護をするという視点も重要なんだけれども、そういった実態であるとか労働関係全体について考えると、なかなかそこまで行くのは難しいという形で議論が結論を得たということでございます。

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