内野宗揮法務省大臣官房審議官

2025年5月7日・第217回国会 衆議院 国土交通委員会 第12号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 138 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 186 発言)

お答え申し上げます。

本年四月九日の衆議院国土交通委員会におきまして、委員の御質問に対しまして、共用部分に生じた損害賠償金について、各区分所有者又は旧区分所有者が個別に受領することを禁じ、その使途を建物の瑕疵の修補のために用いるものとする旨を集会の決議で決し、又は規約で定めておくことが可能であり、あらかじめこのような集会の決議又は規約の定めをしておくことで、管理者は、区分所有者又は旧区分所有者を代理して受領した損害賠償金を、決議又は規約の定めに基づきまして、旧区分所有者に渡さずに、建物の修補費に充てることが可能となると考えている旨申し上げたところでございました。

この共用部分について生じた損害賠償金を、共用部分等の修復に用いるとして、その使途を、分譲時でなく分譲後において規約で定めること、これは、共用部分の管理に関する事項に当たると考えられるため、規約で定めることができるものと考えております。

このような規約が定められた場合には、その規約の定められたときが分譲時でなく分譲後でも、その時点で区分所有者であった者は当該規約で定められた義務を負い、それ以後に区分所有権を譲渡してもその義務を負うことになりますものですから、そのような旧区分所有者との関係では、管理者が受領した損害賠償金を修補費に充てることができる、これを申し上げたところでございます。

これに対しまして、この規約が定められる前に区分所有権が譲渡された場合には、旧区分所有者が規約等で定められた義務を負うことにはならないため、管理者が受領した損害賠償金について制約を受けることがないというふうに考えております。

続いて、自動的に権利移転するという法改正についての指摘がございました。

分譲業者から購入したマンションの共用部分に瑕疵があった場合には、買主であります区分所有者は、それが売買契約の契約の内容に不適合であるとして、当該売買契約の契約不適合責任に基づき、分譲業者に対し、その瑕疵を修理するために必要な費用相当額の損害賠償請求権を有するところでございます。

この損害賠償請求権は、売主である分譲業者と買主である区分所有者との間の契約関係により、買主が取得する損害賠償請求権でありまして、区分所有権や共用部分に係る持分権とは別個の債権でございます。

このような区分所有権等とは別個の債権につきまして、御指摘のように、区分所有権等の譲渡に伴い、区分所有者の意思にかかわらず、その処分や移転を一律に強制する特別の規律を設けることは、財産権の保障等の観点から特に慎重な検討が必要であると考えております。

また、仮にこのような規律を設けるといたしますと、例えば共用部分に瑕疵があった場合、ひとまず管理組合において修繕を行うことも多いものと承知しておりますが、修繕費用を負担した旧区分所有者から現区分所有者に当該損害賠償請求権が移転をしてしまい、修繕費用を負担した旧区分所有者が損害賠償金からの回収ができないという、著しく不合理な事態が生じかねないといったようなことも考えられるところでございます。

そのため、本改正法案では、区分所有権の譲渡がされた場合に、その譲渡人が有していた共用部分等に係る損害賠償請求権を譲受人に当然に移転させる、こういった規律を設けることはしていないところでございます。

前後のやりとり

134の発言を見る

142の発言を見る