堤かなめ (立憲民主党)

2025年5月14日・第217回国会 衆議院 厚生労働委員会 第16号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 139 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 269 発言)

立憲民主党の堤かなめです。

二十五分間の質疑の機会をいただきましたこと、感謝申し上げます。誰もが安心、安全に働ける社会の実現に向け、ハラスメント対策について質問いたします。

今から三十六年前、一九八九年のことです。後に日本初のセクハラ裁判と呼ばれる闘いが福岡で始まりました。出版社で働く晴野まゆみさんが勇気を持って被害を訴え、福岡の多くの女性がこの裁判を手弁当で支援していました。

ちょうどその頃、私は、東京の民間企業に五年勤めた後、福岡に戻って、大学院で社会学の勉強をしておりました。友人に誘われ、このセクハラ裁判の第一回支援する会に参加いたしました。法学や社会学の研究者からこの裁判の意義を説明いただき、セクシュアルハラスメントという言葉、その定義を初めて知りました。

提訴されますと、全国的に大きく、センセーショナルに報道され、セクハラがこの年の流行語大賞を受賞し、セクハラという言葉が日本社会に定着いたしました。その三年後、一九九二年四月、原告の全面勝訴という歴史的な判決が下されました。

それからおよそ三十年余、果たしてハラスメント対策は進んだのでしょうか。

資料一を御覧ください。三年前の新聞記事です。全国の大学では相談窓口の設置は九九%と、いわゆる一般の企業ですとか職場よりもかなり進んでいると思います。でも、機能していないということです。

京都大学の矢野暢教授事件を契機に、大学では、教員を中心に一九九七年にキャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワークが結成されました。パワハラ、アカハラ、アカデミックハラスメントですね、など、あらゆるハラスメントの根絶に向け、三十年近くの長きにわたって多くの教員が、こちらも手弁当で活動を続けています。

その初期には、私も一人の教員として参加していました。もし学生から教員によるハラスメントの被害の相談を受けたとしたら、どうすればよいのか。もし大学に相談から解決までのプロセスがなかったとしたら、公正公平に調査を行い事実認定し、ゼミを替えるなど被害者の救済措置や加害者への懲戒処分などを行う体制がなかったとしたら、自分自身が被害を受けた学生に対して二次加害をしてしまうことになるといった危機感もございました。

キャンパス・セクハラ全国ネットでは、米国、イギリスの規定などを参考に、例えば、防止や被害者救済のためにはどういう体制が必要か、相談と調査を分離することが必須であることなど、モデルとなる規定を作成し、多くの大学がこのモデル規定を参考に体制を整えてきました。

ですから、私はこの記事を見て愕然としました。いまだに大学ですら相談窓口が機能していない。学生がやっとの思いで大学に相談しても、問題解決につながるどころか、大学の対応に納得できない、大学に不信感を抱くことになってしまっている。そして、キャンパス・セクハラ全国ネットなどの関係者が三十年近く熱心に取り組んできた大学ですら、ハラスメントへの対応が適切にできていないとすれば、企業や公務職場は言わずもがなだと思いました。フジテレビ、兵庫県のハラスメント事案を見ても、そのことは明らかです。

資料二を御覧ください。これは十日前の新聞記事です。ハラスメントと言われるのが怖いなどの理由で、管理職には絶対になりたくないという若者が増えてきているという現状にあるとのことです。

すなわち、大学や企業など事業主に措置義務を課すなどの施策だけでは不十分であり、国としてハラスメントに適切に対応する体制を整えなければ、大学も企業も公務職場も疲弊してしまうのではないでしょうか。ひいては、企業や大学の競争力の低下、行政の信頼性の低下も懸念されます。

もちろん、今回の改正案にカスハラ対策、求職者等へのハラスメント対策が盛り込まれたことは評価しております。しかし、今回の改正では余りにも不十分だと言わざるを得ません。

資料三を御覧ください。六年前、二〇一九年六月に、女性活躍推進法改正案の附帯決議です。六番を御覧ください。こちらには、ハラスメント行為そのものを禁止する規定の法制化の必要性なども含めて検討することと記されています。我が国のハラスメント対策は、次の段階に進化する時期に来ているのではないかという思いを強くしています。

大臣にお聞きします。

管理職を含め、誰もが安心、安全に働ける社会を実現するため、ハラスメント禁止を法制化し、適正な事実認定を行い、被害者の救済が行われる体制を国として整備すべきと考えますが、いかがでしょうか。厚労大臣としての認識をお聞かせください。

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