先ほど鳥海先生のお話の中でも出てきましたけれども、フィルターバブルやエコーチェンバーという問題ですね。
特に、ネット広告のマイクロターゲティングは、収集された個人データに基づいて、個人の関心、趣味、嗜好に合わせて最適化されたものがピンポイントで配信をされます。これによって、ユーザーがフィルターバブルに陥ったり、あるいはエコーチェンバーが増幅されたりというようなリスクはあります。ましてや、そこに悪意のある偽情報がマイクロターゲティングされて特定の層に集中的に社会から見えない形で届けられると、国民の冷静な判断をゆがめ、社会を分断させてしまうというような可能性もございます。民主主義のプロセスそのものに影響を与えてしまう。
そのような考え方をベースに、DSAでは、アルゴリズムの透明化あるいは広告の透明性、こういったものを定めているかと思います。
広告ライブラリーは、ネット広告の透明性を向上させる上で一定程度有効な手段だと考えております。これによって、少なくとも、国民投票運動期間、あるいはそれ以前に配信された広告の内容、広告主、それから配信期間、費用の情報などがデータベースとして公開されて、市民、ジャーナリスト、研究者などが、どのようなメッセージが誰によってどのぐらいの規模で拡散されたのかを検証することが可能になるという点では、非常に日本にとっても参考になるのではないかと思います。
23
奥野総一郎(立憲)
ありがとうございます。
かなり踏み込んだというか逸脱した部分もあるにしても、DSAが基にあって、そこから動いているという話だと思うんですが。
ドイツも連邦議会選挙がこの間行われていますが、ドイツにおいてこのDSAはどのように機能したのか、とりわけファクトチェックについてどういうふうに行われたのかということはお分かりになるでしょうか。平先生、鳥海先生も分かれば、お答えいただきたいと思います。
この発言のページ
24平平和博桜美林大学リベラルアーツ学群教授
これも法律のお話になりますけれども、ドイツにおいては、DSAに先立って、ネットワーク執行法という法律ができ上がっております。これは、偽情報対策というよりも、ヘイトスピーチ、あるいは名誉毀損、扇動、こういったものへの対策が主眼とされた法律ですけれども、明らかに違法なコンテンツについて指摘を受けた場合に、指摘から二十四時間以内に削除する義務、あるいは、違反に対しては最大五千万ユーロの制裁金ということを定めております。この点でも、先ほどのDSAの迅速にという対応からは、かなり厳しい内容になっているかと思います。
こちらについても、やはり表現の自由への萎縮効果…
この発言のページ
25
奥野総一郎(立憲)
それをどう考えるかですが、それなりにロシアが身近にあるということで厳しい対応をそれぞれ取っているのかもしれませんし、日本が今そういう状況ではないということであれば、おのずと違うのかもしれませんし。研究していく余地はあると思うんですが。
その上で、DSAはほかに、先生がおっしゃっていた広告ライブラリーの問題や、選挙運動であることの表示の義務づけなども規定をしているはずですし、あと、アルゴリズムの透明性や説明責任をプラットフォームに求めているというようなこともあると思うんですが、こうしたDSAの在り方というのは、広告の透明性あるいはコンテンツ掲載の透明性の…
この発言のページ
- (上の発言)
26平平和博桜美林大学リベラルアーツ学群教授
先ほど鳥海先生のお話の中でも出てきましたけれども、フィルターバブルやエコーチェンバーという問題ですね。
特に、ネット広告のマイクロターゲティングは、収集された個人データに基づいて、個人の関心、趣味、嗜好に合わせて最適化されたものがピンポイントで配信をされます。これによって、ユーザーがフィルターバブルに陥ったり、あるいはエコーチェンバーが増幅されたりというようなリスクはあります。ましてや、そこに悪意のある偽情報がマイクロターゲティングされて特定の層に集中的に社会から見えない形で届けられると、国民の冷静な判断をゆがめ、社会を分断させてしまうというような可能性もございます。民主主義のプロセスそのものに影響を与えてしまう。
そのような考え方をベースに、DSAでは、アルゴリズムの透明化あるいは広告の透明性、こういったものを定めているかと思います。
広告ライブラリーは、ネット広告の透明性を向上させる上で一定程度有効な手段だと考えております。これによって、少なくとも、国民投票運動期間、あるいはそれ以前に配信された広告の内容、広告主、それから配信期間、費用の情報などがデータベースとして公開されて、市民、ジャーナリスト、研究者などが、どのようなメッセージが誰によってどのぐらいの規模で拡散されたのかを検証することが可能になるという点では、非常に日本にとっても参考になるのではないかと思います。
27
奥野総一郎(立憲)
最後に、両先生に伺いたいんです。
憲法改正国民投票もそうなんですが、選挙、投票行動全般について偽情報対策というのは必要であることは間違いないんですが、EUではDSAがワークし出して、これがかなり厳しい、日本にそのまま持ち込めるかどうかというのはあるんですが、そうした一般的な規範をちゃんと作った上で、それと整合的な国民投票法の制度の在り方、国民投票広報委員会も含めた制度の在り方を模索すべきだと思います。
それで、ちょっと漠然とした言い方になるんですが、DSAなどを参考にした、今の広告の透明性もあるんですが、投票について、偽情報対策としてどういった仕組み…
この発言のページ
28鳥鳥海不二夫東京大学大学院工学系研究科教授
選挙等の期間というのが非常に短いということを考えますと、その短い期間での対策を打つというのは、例えば、透明性があったとしても、それを調査する期間もなかなか取れないというところもありますので、難しいところではあると考えております。
その上で、やはり、先ほどウクライナのプレバンキングというお話もございましたけれども、こういった広告がこれから出るかもしれないといったことを国民に知らせるとか、そういった形での対策の方が効果があるのではないかというふうには考えております。
この発言のページ
29平平和博桜美林大学リベラルアーツ学群教授
国民投票に関して申し上げれば、国民投票法に規定のある、憲法改正案の分かりやすい説明と周知、これがやはり基本になるのではないかと思います。
先ほど情報の空白というお話をいたしましたけれども、例えば災害発生直後など、それについての情報が希薄な期間、ここに偽情報、誤情報、陰謀論、こういったものが広がる余地があると考えられております。逆に言いますと、正確で分かりやすい情報が十分に行き届いている情報環境の場合には偽情報は広がりにくいとも言えます。
そういった点で、まず、法に規定のある広報協議会の役割をしっかりと果たしていただくところが基本になるのではないかと思…
この発言のページ