奥村祥大 (国民民主党)

2026年7月8日・第221回国会 参議院 本会議 第26号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 25 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 54 発言)

国民民主党・新緑風会の奥村祥大です。

私は、会派を代表し、ただいま議題となりました内閣に対する警告決議に賛成、令和六年度一般会計歳入歳出決算外二案に反対の立場から討論いたします。

討論に先立ち、昨今の国会情勢について一言申し上げます。

昨日まで、各種報道では野党の審議拒否の文字が躍っていました。果たして事実なのでしょうか。これまで、野党は継続して集中審議と党首討論を求めてきました。これは国対間の協議で合意されたものであり、野党側が唐突に言い出したものでもなければ、無理難題を要求しているものでもありません。我々野党は、ルールを守る国会を取り戻したいのです。与野党の合意をほごにするのはなぜでしょうか。

答弁拒否の説明責任は総理にあります。先般の決算委員会でも、総理は、国会からの要請があれば誠実に対応する旨御答弁がありました。我々野党は何十回も要請してきました。仮に総理の耳に届いていなかったとすれば、誰かが情報を伝えていなかったのでしょうか。与党の中で情報の目詰まりが起きていたのでしょうか。

国民が求めているのは、数の力で押し切る与党でも、審議拒否する野党でも、ましてや答弁拒否する総理でもありません。ただ一つ、熟議を尽くす国会です。対話を諦めた瞬間に、民主主義は音を立てて崩れ落ちるのではないでしょうか。

国民民主党は、ルールを守り、必要な議論を重ねる国会を取り戻すために力を尽くすことを申し上げ、討論に入ります。

まず、我が会派は、令和六年度政府予算案に対し、賃上げの機運を中小企業や非正規雇用労働者、地方に波及させる内容になっていないこと、子ども・子育て支援金制度の導入によって現役世代の負担が増えること、能登半島地震の復旧復興支援に必要な予算が盛り込まれていないことから、反対をいたしました。

では、実際、令和六年度に何が生じ、決算から見て何が問題だったのか、以下指摘します。

令和六年、二〇二四年は、いわゆる自民党の裏金問題への対応から始まった一年でした。進めるべき審議が進まず、予算委員会においても、失われた政治への信頼回復のために多くの時間を費やす必要がありました。そのような環境下で成立した令和六年度当初予算は、百十二兆円を超える大規模なものでした。このお金は適切に使われたのでしょうか。

第一に、手取りを増やすという観点から申し上げます。

連合の発表によれば、二〇二四年の春季労使交渉における平均賃上げ率は五・一%と、三十三年ぶりに五%を上回り、賃上げの機運は確かに高まりました。しかし、組合員数三百人未満の中小組合では四・四五%と五%を下回り、我が党が再三指摘してきた中小企業の価格転嫁への働きかけも不十分なままでした。

当時の岸田内閣は、二〇二四年中に物価上昇を上回る所得を実現すると約束しました。結果はどうであったか。実質賃金は前年比〇・二%の減少、三年連続のマイナスでした。その一方で、歳入決算額は百三十五・九兆円、うち税収は七十五・二兆円と、五年連続で過去最高を更新し、補正後予算からもなお一兆八千億円上振れました。

その少なからぬ部分は、物価上昇に伴う消費税収の増加と、名目賃金の上昇で所得税の負担が実質的に重くなる、言わばインフレによる自動増税によるものです。実質賃金が目減りし、人々の生活が苦しくなる中で、国だけが一人勝ちの状況でした。税収増の果実は、納税者である国民に還元されるべきではなかったのでしょうか。

政府も還元を口にしました。それが定額減税です。当時の岸田内閣は、デフレから完全に脱却する千載一遇の歴史的チャンスとして、定額減税で可処分所得を増やすと説明しました。しかし、定額減税と関連給付で総額五兆円を超える財源を投じながらも、政府からはいまだその効果検証が聞こえてきません。専門家による試算では、GDPの押し上げ効果は〇・二兆円から〇・五兆円程度とされるものもあり、投じた金額に対して効果は限定的でした。何より、あれから二年がたった今なお、政府はデフレ脱却を宣言できておりません。物価が上がり続けている中でデフレ脱却を宣言できていないのは、持続的な賃上げと消費の好循環が実現していない証左であります。

当時から我々国民民主党が求めていたトリガー条項の凍結解除や年収の壁対策は先送りにされ続け、その結果、消費は喚起されず、景気が上向くこともありませんでした。

必要であったのは、一年限りの刹那的な減税という点の施策ではなく、基礎控除の引上げを始めとする恒久的な減税という線の施策ではなかったのでしょうか。

第二に、人づくりこそ国づくりの観点から申し上げます。

政府は、異次元の少子化対策と銘打ち、こども未来戦略を策定しました。しかし、二〇二三年に七十二万七千人余りであった出生数は、二〇二四年には六十八万六千人余りと、過去最少を更に更新しました。

政策効果の発現に時間を要することは百も承知ですが、問題は結果ではなく、制度設計そのものにあります。

少子化の根本原因は、手取りが増えず、将来が不安で結婚や子育てに踏み切れないという若い世代の経済的基盤の脆弱さにあります。にもかかわらず、子ども・子育て支援金制度は、子育て支援の名の下に、その現役世代の手取りを更に削るものです。これが本当に異次元だったと言えるのでしょうか。仮に異次元だったとするならば、出生数が減り続ける今、現体制下ではもはやこれ以上の打つ手がないことを政府自らが証明することになりはしないでしょうか。私たちがかねてから訴えてきた教育国債の発行による教育、科学技術予算の倍増を始め、真に必要な人への投資が行われるべきではなかったのでしょうか。

第三に、自分の国は自分で守るという観点から申し上げます。

厳しさを増す安全保障環境において、防衛費の一定の増大は必要であると認識しています。だからこそ、その執行の質が厳しく問われなければなりません。

会計検査院の報告によれば、周辺海域で外国の潜水艦や不審船を監視する海上自衛隊のP1哨戒機は、エンジンや電子機器の不具合、交換部品の調達遅延により可動が低調であり、他の機体から部品を取り外して修理に充てる、いわゆる共食い整備まで行われていました。一兆七千億円を超える国費が投じられてきたP1の可動が低調であったということは、そもそも必要以上に調達されていたのか、あるいは我が国の警戒監視体制に穴が空いていたのか、そのどちらかであります。陸上自衛隊が調達した災害用ドローンが五年間一度も使われないままであった事態も同様です。

防衛分野に限らず、令和六年度決算検査報告全体で掲記された指摘は三百十九件、金額にして五百四十億円を超えました。復旧復興がいまだ道半ばの能登の被災地を思うとき、一円の無駄も許されるものではありません。果たしてその税金はどこから来たのか。紛れもなくそれは国民の負担であることを政府は強く認識する必要があるのではないでしょうか。

現役世代の暮らしは日々追い詰められています。税金と社会保険料に手取りを削られ、働けど働けど、貯蓄に回すお金が残らない。貯蓄がないから、今が不安。将来はもっと不安。そうした不安を打ち消すために政治がなすべきは、更なる賃上げの促進、そして手取りを増やす政策ではないでしょうか。今こそ、現役世代、生活者、納税者、働く者のための政治を行い、将来不安を一つでも減らしていこうではありませんか。

令和六年度は、新しい資本主義、異次元の少子化対策と銘打って掲げられた目標の崇高さに比べて、実際の効果は余りに限定的であり、現役世代の不安に向き合うものには到底なっていませんでした。以上から、令和六年度決算を是認することはできません。

我々国民民主党は、決算の参議院としての役割を果たすべく、これからも対決より解決の姿勢で取り組んでいくことをお誓い申し上げ、私からの反対討論といたします。

御清聴ありがとうございました。(拍手)

前後のやりとり

21の発言を見る

29の発言を見る

顔写真の出典(Wikimedia Commons、4件)