立憲民主・無所属の杉尾秀哉です。
私は、会派を代表しまして、ただいま議題となりました経済安全保障推進法及びJBIC法改正案について質問いたします。
令和四年、二〇二二年に経済安保推進法が成立して四年が経過しました。当時は、いまだ収束しない新型コロナ禍に、始まったばかりのウクライナ戦争と、日本はまさに内憂外患の状況にあり、私は経済安保法制定時の本会議代表質問で、当時の岸田総理と小林担当大臣に対して、物流の課題など政府の取組をただすとともに、過度な規制がもたらす企業や国民への萎縮効果について懸念を表明しました。
あれから四年。今度は、日中関係の悪化やイラン情勢を始めとする中東情勢の緊迫化により、レアアースの供給途絶リスクのほか、原油や石油化学製品の調達不安に見舞われています。第三次オイルショックの到来を予想する向きもあり、法制定時よりも更に日本をめぐる状況は厳しさを増していると言ってもいいでしょう。
そこでまず、小野田経済安保担当大臣に、四年前と比較した経済安全保障環境についての日本政府の認識と、今回の法改正の目的を伺います。
それでは、本論に入ります。
最初は、イラン情勢と経済安全保障推進法に基づく取組の成果について。
経済安保推進法では、国民の生存に必要不可欠であるか、又は広く国民生活や経済活動が依拠している重要な物資を特定重要物資として指定し、民間事業者を支援することを通じて、サプライチェーンの強靱化を図る制度が設けられております。
今般のイラン情勢を受けて、国内では、国民の命に直結する医療関連物資のほか、建築用資材、塗料用シンナーや印刷用インクなど、石油由来の様々な物資の供給が滞り、製造業や建設業、それに食品産業や医療現場、農業などなど、深刻な影響は各方面に広がる一方です。
こうした深刻な状況になっても、政府は、原油やナフサを含む石油製品については日本全体として必要な量を確保できているとして、原因は供給の偏りや流通の目詰まりにあるという説明を繰り返すばかり。これでは政府と現場の認識の乖離が埋まるはずもなく、世論調査でも、中東情勢の不安定化による生活への影響を心配と回答した人は実に八五%にも上り、また、ナフサの供給に問題はないという政府の説明に納得できないと回答した人も六四%と、納得できるの二五%を大きく上回っています。
こうした不測の事態に備え、経済安保推進法に基づきサプライチェーン強靱化のための制度を実施したことで、イラン情勢を受けたサプライチェーンの混乱にどのような効果があったのか、それともなかったのか、小野田大臣、具体的に御説明ください、御答弁ください。
原油の特定物資への指定について、三年前、当時経済安保担当大臣だった高市総理大臣は、ほかの制度により措置が講じられている場合、本制度で措置する必要性は小さい、また、原油の場合、石油備蓄確保法で措置できるので対象にしていないなどと答弁をしていました。
また、ナフサについても、政府は、民間による中間段階の化学製品の在庫備蓄があることに加え、供給源を多様化する余地があることから、特定重要物資には指定してこなかったと、このように説明しています。
ところが、原油の中東依存度は、第二次石油危機を経て一時は七割を切っていたものが再び上昇し、一昨年度には過去最高の九五・九%にまで達しています。これでは、原油や原油由来の製品のサプライチェーンの多角化を進める取組が不十分であったと言わざるを得ません。
かかる現状を踏まえれば、特定重要物資の指定の在り方について見直しを行うほか、調達の多角化についても何らかのインセンティブを付与するなどの検討を行うべきと考えますが、小野田大臣及び赤澤経済産業大臣の答弁を求めます。
さらに、経済安保をめぐっては、情報システムの脆弱性を見付け出す能力が飛躍的に向上しているとされる最新型AIモデル、クロード・ミュトスが開発されたことを契機として、高性能なAIの悪用による基幹インフラへのサイバー攻撃への懸念がここにきて急速に高まっています。
当初、政府が提出した法律案では、施行後三年をめどとして、改正規定の施行状況などを踏まえ検討を行うことと、このように規定されておりましたが、イラン情勢やクロード・ミュトスへの対応など目下の課題に対して直ちに検討を行うため、衆院段階で中道改革連合の議員が中心となりまして、政府が国家や国民の安全を損なう事態を防ぐための必要な措置を速やかに検討する法案修正が行われました。
この修正の趣旨を踏まえ、政府は直ちに経済安保に関する有識者会議の議論をスタートさせ、対策に当たるべきと、このように考えますけれども、検討の必要性について、小野田大臣の答弁を求めます。
次に、基幹インフラ役務の安定的な供給に関する制度について伺います。
本法律案では、基幹インフラ制度の対象となる事業分野に医療を追加することとしています。以前から懸案になっていた分野です。
こうした制度の対象事業をめぐっては、前回の法改正で港湾運送が追加された際、行政機関も対象にすべきではないかという議論がありましたが、当時、これも担当大臣だった高市総理大臣は、政府におけるシステムの調達は、サイバーセキュリティー対策のための統一基準を策定し、この中で必要な対策を政府機関に求めるので、対象にする段階ではないと否定的でした。
ところが、去年九月の会計検査院の報告で、中央省庁や出先機関が運用する重要な情報システムのうち、一六・三%は統一基準群に準拠したソフトウェアに関する脆弱性対策が講じられていなかったことが明らかとなりました。
基幹インフラ制度は民間事業者に対して負担を強いる制度であるにもかかわらず、政府が自らルールを守らないなど言語道断であります。改めて、行政機関を基幹インフラ制度の対象事業にしなくても行政サービスを維持できるのか、小野田大臣、お答えください。
先端的な重要技術の開発支援に関する制度についても伺います。
経済安保推進法の指定基金と協議会の枠組みを活用して、経済安全保障重要技術育成プログラム、略称Kプログラムというのが実施されておりまして、これまでに四十の協議会が組織され、研究開発が進められてまいりました。
しかしながら、このうち、ドローンや空飛ぶ車が活躍するエアモビリティー社会の実現を目指す小型無人機の飛行経路の風況観察技術の研究開発は、去年三月の中間評価において中止が決定されています。
当該事業では約十一億円の予算が確保されておりましたが、研究が中止になった経緯と、これまでに支出された予算額について、小野田大臣の説明を求めます。
この特定重要技術の研究開発等の促進を図るために指定される基金について、本法律案では、設置主体及び使途の対象を拡大する改正が盛り込まれております。
これについては、衆議院の質疑で、対象とできる基金を広げ過ぎではないかという懸念が示され、これに対して小野田大臣は、指定しようとする基金が特定重要技術の研究開発を行うことが確かに予定されているかなどしっかり精査し、無限定に指定することは想定していない、こういうふうに答弁されました。
しかし、そもそも対象として指定したい基金があるのであれば、その都度法案を提出して、国会に必要性を諮るのが筋ではないでしょうか。
令和四年の制定時の議論でも、政府に委任する規定が余りに多いことが問題視されましたが、なぜ、個別の基金を条文の中に規定するのではなく、対象を広げる規定とする必要があるのか、小野田大臣、御説明ください。
ところで、今回の法改正では、特定海外事業の促進に関する制度が創設されることとなりました。
経済安保上重要な海外事業を支援するため、国際協力銀行、JBICが劣後出資等を供与できる規定が設けられていますが、これによりリスクテークが可能となる一方で、損失の発生も心配されます。
これについて、衆議院での質疑で政府は、どの程度のリスクまでが許容されるかについては明確に示さず、JBIC法の条文の規定に沿った曖昧な答弁にとどめました。
新たな業務の資本金は、今後一般会計予算から支出することが検討されているようですけれども、一体どれほどの予算を確保しようと考えているのか、想定される支援対象事業の規模の見通しを含めて、片山財務大臣、お答えください。
また、この資本金等の中には、JBICに極めて有利な条件で貸し付けられる劣後的政府貸付けも含まれますが、どのような基準で貸付けを行うことになるのかについても、片山大臣の答弁を求めます。
JBICによる海外事業の促進業務において損失が発生した場合の対応について、小野田大臣は、企業の個別情報等への配慮の必要性や国民への説明責任の在り方とのバランスを考慮しながら、どのような公表の在り方が適切であるかを検討していくと、このように答弁をされました。
経済安保は、高市内閣の看板政策である危機管理投資、成長投資とも密接に関連する分野でもあり、支援実施の判断が恣意的に行われ、モラルハザードを引き起こす懸念が拭えません。
制度の実施状況を適切に検証することができるよう、少なくとも国会に対しては具体的な情報開示を行う必要があると、このように考えますけれども、小野田大臣、これに賛同していただけないでしょうか。
さらに、本法案では総合的な経済安全保障シンクタンク機能が創設されることになります。
これまで政府は、この新設のシンクタンクとは別に、重要技術戦略研究所の設置に向けた準備を進めてきました。この研究所は、経済安全保障推進法に基づく特定重要技術の調査研究を担うシンクタンクとして期待されていたはずで、令和四年の法案審議でも、小林経済安保担当大臣はその旨答弁をしています。
それがなぜ、今新たなシンクタンクの設立なのか。政府の有識者会議の委員からも、特定技術戦略研究所となぜ一本化できなかったのかと言われるとじくじたるものがあるとか、経済安保の焼け太りと言われかねないなどと厳しい意見が投げかけられておりまして、これは議事要旨にもはっきりと残されています。
こうした専門家の厳しい指摘にもかかわらず、政府は重要技術戦略研究所と総合的な経済安全保障シンクタンクが併存する形となる法案を提出したわけで、今回なぜ、特定重要技術の調査研究を行うシンクタンクの規定を削除し、重要技術戦略研究所とは別に新たなシンクタンクを設ける必要があったのか。また、有為な人材の奪い合いや分散となり、かえってマイナスとはならないのかなど、疑問は尽きません。
こうした背景に省庁間の権益拡大や権限争いがあったとすれば、これは言語道断ですけれども、小野田大臣に納得のいく説明を求めます。
最後に、官民協議会の設置についてお尋ねいたします。
本法律案では、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止するため、情報共有や対策の協議を行う官民協議会を設置することとしています。
その一方で、去年成立したサイバー対処能力強化法でも、官民連携の強化を図るため、情報共有や対策のための協議会を設置することとされていて、本法案に基づく官民協議会で扱う内容と重複する部分があると、このように考えられます。
いずれの官民協議会も構成員に対して情報提供を求める規定がありまして、特に、基幹インフラ事業者は関連したテーマを扱う複数の協議会に参加を求められ、過度に負担が増すことが、これにもつながりかねません。小野田大臣は、これらの懸念払拭のため、どのような取組を行う方針なんでしょうか。
最後になります。
我が国を取り巻く経済安保環境が厳しさを増す中で、政府の取組が的外れで、しかも行政組織の焼け太りと言われるようなものであっては断じてなりません。
私たちは、経済安保法制が真に実効性があり、また、国民の幸福と生活の安定、そして将来への不安払拭につながるものとなるよう、法案の慎重審議を進めるとともに、今後もしっかりとこの法案を監視し続けることをお約束して、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣小野田紀美君登壇、拍手〕
2
関口昌一議長
御異議ないと認めます。小野田紀美国務大臣。
〔国務大臣小野田紀美君登壇、拍手〕
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3
小野田紀美(自民)内閣府特命担当大臣(クールジャパン戦略・知的財産戦略・科学技術政策・宇宙政策・人工知能戦略・経済安全保障)
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律及び株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
本法律案は、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増していることに鑑み、特定重要物資等の供給に不可欠な役務に関する規定の整備、特定社会基盤事業として定めることができる事業への医療分野の追加、海外において国際的な輸送網の強靱化に資する施設の整備等を行う事業に対する株式会社国際協力銀行からの貸付け等の支援に関する制度の創設、安全保障に関する経済施策に係る調査研究の推進及び官民の連携によ…
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4
関口昌一議長
ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。杉尾秀哉君。
〔杉尾秀哉君登壇、拍手〕
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- (上の発言)
5
杉尾秀哉(立憲)
立憲民主・無所属の杉尾秀哉です。
私は、会派を代表しまして、ただいま議題となりました経済安全保障推進法及びJBIC法改正案について質問いたします。
令和四年、二〇二二年に経済安保推進法が成立して四年が経過しました。当時は、いまだ収束しない新型コロナ禍に、始まったばかりのウクライナ戦争と、日本はまさに内憂外患の状況にあり、私は経済安保法制定時の本会議代表質問で、当時の岸田総理と小林担当大臣に対して、物流の課題など政府の取組をただすとともに、過度な規制がもたらす企業や国民への萎縮効果について懸念を表明しました。
あれから四年。今度は、日中関係の悪化やイラン情勢を始めとする中東情勢の緊迫化により、レアアースの供給途絶リスクのほか、原油や石油化学製品の調達不安に見舞われています。第三次オイルショックの到来を予想する向きもあり、法制定時よりも更に日本をめぐる状況は厳しさを増していると言ってもいいでしょう。
そこでまず、小野田経済安保担当大臣に、四年前と比較した経済安全保障環境についての日本政府の認識と、今回の法改正の目的を伺います。
それでは、本論に入ります。
最初は、イラン情勢と経済安全保障推進法に基づく取組の成果について。
経済安保推進法では、国民の生存に必要不可欠であるか、又は広く国民生活や経済活動が依拠している重要な物資を特定重要物資として指定し、民間事業者を支援することを通じて、サプライチェーンの強靱化を図る制度が設けられております。
今般のイラン情勢を受けて、国内では、国民の命に直結する医療関連物資のほか、建築用資材、塗料用シンナーや印刷用インクなど、石油由来の様々な物資の供給が滞り、製造業や建設業、それに食品産業や医療現場、農業などなど、深刻な影響は各方面に広がる一方です。
こうした深刻な状況になっても、政府は、原油やナフサを含む石油製品については日本全体として必要な量を確保できているとして、原因は供給の偏りや流通の目詰まりにあるという説明を繰り返すばかり。これでは政府と現場の認識の乖離が埋まるはずもなく、世論調査でも、中東情勢の不安定化による生活への影響を心配と回答した人は実に八五%にも上り、また、ナフサの供給に問題はないという政府の説明に納得できないと回答した人も六四%と、納得できるの二五%を大きく上回っています。
こうした不測の事態に備え、経済安保推進法に基づきサプライチェーン強靱化のための制度を実施したことで、イラン情勢を受けたサプライチェーンの混乱にどのような効果があったのか、それともなかったのか、小野田大臣、具体的に御説明ください、御答弁ください。
原油の特定物資への指定について、三年前、当時経済安保担当大臣だった高市総理大臣は、ほかの制度により措置が講じられている場合、本制度で措置する必要性は小さい、また、原油の場合、石油備蓄確保法で措置できるので対象にしていないなどと答弁をしていました。
また、ナフサについても、政府は、民間による中間段階の化学製品の在庫備蓄があることに加え、供給源を多様化する余地があることから、特定重要物資には指定してこなかったと、このように説明しています。
ところが、原油の中東依存度は、第二次石油危機を経て一時は七割を切っていたものが再び上昇し、一昨年度には過去最高の九五・九%にまで達しています。これでは、原油や原油由来の製品のサプライチェーンの多角化を進める取組が不十分であったと言わざるを得ません。
かかる現状を踏まえれば、特定重要物資の指定の在り方について見直しを行うほか、調達の多角化についても何らかのインセンティブを付与するなどの検討を行うべきと考えますが、小野田大臣及び赤澤経済産業大臣の答弁を求めます。
さらに、経済安保をめぐっては、情報システムの脆弱性を見付け出す能力が飛躍的に向上しているとされる最新型AIモデル、クロード・ミュトスが開発されたことを契機として、高性能なAIの悪用による基幹インフラへのサイバー攻撃への懸念がここにきて急速に高まっています。
当初、政府が提出した法律案では、施行後三年をめどとして、改正規定の施行状況などを踏まえ検討を行うことと、このように規定されておりましたが、イラン情勢やクロード・ミュトスへの対応など目下の課題に対して直ちに検討を行うため、衆院段階で中道改革連合の議員が中心となりまして、政府が国家や国民の安全を損なう事態を防ぐための必要な措置を速やかに検討する法案修正が行われました。
この修正の趣旨を踏まえ、政府は直ちに経済安保に関する有識者会議の議論をスタートさせ、対策に当たるべきと、このように考えますけれども、検討の必要性について、小野田大臣の答弁を求めます。
次に、基幹インフラ役務の安定的な供給に関する制度について伺います。
本法律案では、基幹インフラ制度の対象となる事業分野に医療を追加することとしています。以前から懸案になっていた分野です。
こうした制度の対象事業をめぐっては、前回の法改正で港湾運送が追加された際、行政機関も対象にすべきではないかという議論がありましたが、当時、これも担当大臣だった高市総理大臣は、政府におけるシステムの調達は、サイバーセキュリティー対策のための統一基準を策定し、この中で必要な対策を政府機関に求めるので、対象にする段階ではないと否定的でした。
ところが、去年九月の会計検査院の報告で、中央省庁や出先機関が運用する重要な情報システムのうち、一六・三%は統一基準群に準拠したソフトウェアに関する脆弱性対策が講じられていなかったことが明らかとなりました。
基幹インフラ制度は民間事業者に対して負担を強いる制度であるにもかかわらず、政府が自らルールを守らないなど言語道断であります。改めて、行政機関を基幹インフラ制度の対象事業にしなくても行政サービスを維持できるのか、小野田大臣、お答えください。
先端的な重要技術の開発支援に関する制度についても伺います。
経済安保推進法の指定基金と協議会の枠組みを活用して、経済安全保障重要技術育成プログラム、略称Kプログラムというのが実施されておりまして、これまでに四十の協議会が組織され、研究開発が進められてまいりました。
しかしながら、このうち、ドローンや空飛ぶ車が活躍するエアモビリティー社会の実現を目指す小型無人機の飛行経路の風況観察技術の研究開発は、去年三月の中間評価において中止が決定されています。
当該事業では約十一億円の予算が確保されておりましたが、研究が中止になった経緯と、これまでに支出された予算額について、小野田大臣の説明を求めます。
この特定重要技術の研究開発等の促進を図るために指定される基金について、本法律案では、設置主体及び使途の対象を拡大する改正が盛り込まれております。
これについては、衆議院の質疑で、対象とできる基金を広げ過ぎではないかという懸念が示され、これに対して小野田大臣は、指定しようとする基金が特定重要技術の研究開発を行うことが確かに予定されているかなどしっかり精査し、無限定に指定することは想定していない、こういうふうに答弁されました。
しかし、そもそも対象として指定したい基金があるのであれば、その都度法案を提出して、国会に必要性を諮るのが筋ではないでしょうか。
令和四年の制定時の議論でも、政府に委任する規定が余りに多いことが問題視されましたが、なぜ、個別の基金を条文の中に規定するのではなく、対象を広げる規定とする必要があるのか、小野田大臣、御説明ください。
ところで、今回の法改正では、特定海外事業の促進に関する制度が創設されることとなりました。
経済安保上重要な海外事業を支援するため、国際協力銀行、JBICが劣後出資等を供与できる規定が設けられていますが、これによりリスクテークが可能となる一方で、損失の発生も心配されます。
これについて、衆議院での質疑で政府は、どの程度のリスクまでが許容されるかについては明確に示さず、JBIC法の条文の規定に沿った曖昧な答弁にとどめました。
新たな業務の資本金は、今後一般会計予算から支出することが検討されているようですけれども、一体どれほどの予算を確保しようと考えているのか、想定される支援対象事業の規模の見通しを含めて、片山財務大臣、お答えください。
また、この資本金等の中には、JBICに極めて有利な条件で貸し付けられる劣後的政府貸付けも含まれますが、どのような基準で貸付けを行うことになるのかについても、片山大臣の答弁を求めます。
JBICによる海外事業の促進業務において損失が発生した場合の対応について、小野田大臣は、企業の個別情報等への配慮の必要性や国民への説明責任の在り方とのバランスを考慮しながら、どのような公表の在り方が適切であるかを検討していくと、このように答弁をされました。
経済安保は、高市内閣の看板政策である危機管理投資、成長投資とも密接に関連する分野でもあり、支援実施の判断が恣意的に行われ、モラルハザードを引き起こす懸念が拭えません。
制度の実施状況を適切に検証することができるよう、少なくとも国会に対しては具体的な情報開示を行う必要があると、このように考えますけれども、小野田大臣、これに賛同していただけないでしょうか。
さらに、本法案では総合的な経済安全保障シンクタンク機能が創設されることになります。
これまで政府は、この新設のシンクタンクとは別に、重要技術戦略研究所の設置に向けた準備を進めてきました。この研究所は、経済安全保障推進法に基づく特定重要技術の調査研究を担うシンクタンクとして期待されていたはずで、令和四年の法案審議でも、小林経済安保担当大臣はその旨答弁をしています。
それがなぜ、今新たなシンクタンクの設立なのか。政府の有識者会議の委員からも、特定技術戦略研究所となぜ一本化できなかったのかと言われるとじくじたるものがあるとか、経済安保の焼け太りと言われかねないなどと厳しい意見が投げかけられておりまして、これは議事要旨にもはっきりと残されています。
こうした専門家の厳しい指摘にもかかわらず、政府は重要技術戦略研究所と総合的な経済安全保障シンクタンクが併存する形となる法案を提出したわけで、今回なぜ、特定重要技術の調査研究を行うシンクタンクの規定を削除し、重要技術戦略研究所とは別に新たなシンクタンクを設ける必要があったのか。また、有為な人材の奪い合いや分散となり、かえってマイナスとはならないのかなど、疑問は尽きません。
こうした背景に省庁間の権益拡大や権限争いがあったとすれば、これは言語道断ですけれども、小野田大臣に納得のいく説明を求めます。
最後に、官民協議会の設置についてお尋ねいたします。
本法律案では、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止するため、情報共有や対策の協議を行う官民協議会を設置することとしています。
その一方で、去年成立したサイバー対処能力強化法でも、官民連携の強化を図るため、情報共有や対策のための協議会を設置することとされていて、本法案に基づく官民協議会で扱う内容と重複する部分があると、このように考えられます。
いずれの官民協議会も構成員に対して情報提供を求める規定がありまして、特に、基幹インフラ事業者は関連したテーマを扱う複数の協議会に参加を求められ、過度に負担が増すことが、これにもつながりかねません。小野田大臣は、これらの懸念払拭のため、どのような取組を行う方針なんでしょうか。
最後になります。
我が国を取り巻く経済安保環境が厳しさを増す中で、政府の取組が的外れで、しかも行政組織の焼け太りと言われるようなものであっては断じてなりません。
私たちは、経済安保法制が真に実効性があり、また、国民の幸福と生活の安定、そして将来への不安払拭につながるものとなるよう、法案の慎重審議を進めるとともに、今後もしっかりとこの法案を監視し続けることをお約束して、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣小野田紀美君登壇、拍手〕
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小野田紀美(自民)内閣府特命担当大臣(クールジャパン戦略・知的財産戦略・科学技術政策・宇宙政策・人工知能戦略・経済安全保障)
杉尾委員から、まず、経済安全保障環境についての認識と今回の法改正の目的についてお尋ねがありました。
二〇二二年五月に経済安全保障推進法が成立してから四年が経過し、この間、ウクライナ侵略や中東、イラン情勢を始めとする地政学リスクの高まり、経済的措置を通じた脅威の増大、グローバルサウス諸国のプレゼンスの拡大等、国際情勢は大きく変化をしております。また、AI、量子等の先端技術の技術開発競争が一層激化するなど、経済安全保障をめぐる課題が一段と複雑化する中で、官民連携を強化する必要が高まっていると認識をしております。
こうした現状認識を踏まえ、外交力、防衛力、…
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赤澤亮正(自民)経済産業大臣・内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)
杉尾秀哉議員から、特定重要物資の指定の在り方、原油及び石油製品の調達先の多角化について一問お尋ねがありました。
特定重要物資の指定の在り方については、経済安全保障推進法の主管である内閣府が中心となり検討するものと認識しておりますが、物資のサプライチェーンが複雑化する中において、重要物資の安定供給確保は同法のみで実現されるものではなく、様々な政策手段を組み合わせて対応していくべきものと考えています。
原油については、六月の代替調達は八割程度の調達にめどが立っており、調達先の多角化が進展をしております。ナフサについても、国内での精製継続、中東以外からの輸…
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片山さつき(自民)財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融)
杉尾議員から、経済安全保障上重要な海外事業の支援に関する予算や事業の規模の見通しについてお尋ねがありました。
認定特定海外事業の実施に必要な予算については、法案成立後の予算編成過程において、政府として、想定される事業数や事業規模などを見込み、所要額を精査の上で措置することとなります。そのため、現段階で具体的な予算や事業の規模をお答えすることは困難でございますが、経済安全保障上重要な事業に対し十分な支援が行えるよう、必要な予算の確保を図ってまいります。
次に、劣後的政府貸付けの基準についてお尋ねがありました。
JBICの資本強化には、従来、政府出資を…
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