佐藤淳法務省刑事局長

2026年4月16日・第221回国会 参議院 法務委員会 第5号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 6 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 150 発言)

お答えいたします。

本法律案による自動車運転死傷処罰法第二条第一号の改正は、現行の正常な運転が困難な状態との構成要件を、個別具体的な事情問わず一律にそのような状態と認められる数値基準を設けることでより明確化するものでございます。

判例上、この正常な運転が困難な状態とは、アルコールの影響により道路交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態をいい、アルコールの影響により前方を注視してそこにある危険を的確に把握して対処することができない状態もこれに当たるとされているところでございます。

そして、アルコール医学の知見によりますと、体内アルコール濃度が呼気一リットルにつき〇・五ミリグラムに至っている場合には、個人差を問わず、注意力や警戒心の低下、反応の遅延といった運転に必要不可欠な能力への影響が生じているとされているところでございます。そのような影響が生じていれば道路交通の状況に応じた運転操作を行うことが困難な状態に至っていると評価できると考えられるところでございます。

そこで、少なくとも、身体に呼気一リットルにつき〇・五ミリグラム以上にアルコールを保有する状態であれば一律に正常な運転が困難な状態と評価できると考えられることから、これを数値基準として改正後の法第二条第一号に定めることとしているところでございます。

他方で、数値基準を呼気一リットルにつき〇・三ミリグラムとする案については、法制審議会の部会についても議論が行われたところでございました。

これに対しては、アルコール医学の知見によると、実験によって裏付けられている範囲で、何人にも注意力の低下等の症状が生じていると認められる体内アルコール濃度は呼気一リットルにつき〇・五ミリグラムであるとの異論が示され、幅広い支持を得るまでには至らなかったということでございました。

なお、数値基準は、あくまでも個別具体的な事情を問わずに一律に正常な運転が困難な状態であると認められる症状が生じる数値として認定しているものでありまして、この数値基準に満たない場合であっても、個別具体の事情に照らしまして正常な運転が困難な状態と認められる場合には危険運転致死傷罪が成立し得るところでございます。

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