諸富徹京都大学公共政策大学院院長

2026年5月20日・第221回国会 参議院 国民生活・経済に関する調査会 第4号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 71 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 94 発言)

なかなか核心的な御質問で根本問題だと思うんですけれども、ちょうど安倍政権のとき、法人税下げて、私も政府の税制調査会で議論いたしましたけれども、同時に、安倍政権は何と二回も消費税率を上げられたんですよね。今から思うと、本当に政治的に、今となっては困難ですけれども、二回上げられたということですね。なので、代替しているように見えるし、そういうふうに確かに、先生もおっしゃったように、入れ替えたんじゃないか、消費税の増税財源を、法人税の減税財源が消費税から出されたんじゃないかというふうに理解されがちなんですが、実際には社会保障に充てられていて、あと借金の返済なんですけれども、そちらに充てられている。

法人税は、じゃ、どうしたのかということなんですが、実は外形標準課税といいまして、中小企業さんが仮に利潤がゼロでも、税金は、地域でいろいろ、自治体だとかいろんなところからそれなりに便益、サービスを受けているから、それの対価をちゃんと払ってもらいましょうということで、実質的に増税されたんですね。そういうことでいいますと、どっちかいうと、それまで税金を払っていなかった中小企業さんが負担増になって、その分大企業さんの税が軽減されたというのが実情です。

これをどう捉えるかですね。経済がやはり当時の議論ではグローバル化していく中で、稼いでいる企業の後押しをしなきゃいけないと。国際競争力を強めるために彼らの負担を下げて、今負担していない人にきちっとその政府から受けている恩恵の対価をもっとちゃんと負担してもらうということで中小企業さんに外形標準という形で課税したのが実情だったと思います。

今、再設計するとどうするか。今はやっぱり問題が、十年たってみて、じゃ、それが本当に後押しになったのかと、必要な減税だったのかというのが問われていると思います。つまり、投資はそんなに増えていない、むしろ海外にどんどん投資をしていく、内部留保が増えている。こういった状況から、法人税に対してもう一回増税すべきではないかという議論も出てきていますし、その代わり、例えば人的資本投資に熱心、賃上げに熱心、国内設備投資しっかりやってくれる、こういったところに対してしっかり手当てをする、つまり減税する。上げながら片一方で減税するというふうに切り替えていくべきじゃないかという議論になってきているんですね。

消費税に関しては先ほど申し上げました。なかなか今はちょっと地合い的には上げる議論にはなりにくい、でも、経済を成長の軌道に乗せることができて、実質賃金が持続的に伸びる状況になってくれば、消費増税の可能性は出てこないわけではないというふうに考えています。それまでは、やはりちょっと格差を縮小するために、先ほどプレゼンで申し上げました応能的な負担というものを実現していくのがまず先決かなと思っております。

以上でございます。

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