自由民主党の中西祐介でございます。
会派を代表して意見表明をさせていただきます。
参議院議員選挙において導入されている合区選挙は、政治的に一つのまとまりを有する単位、まさに民主主義のユニットである都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出すべきとの考えが有権者においてなお強いにもかかわらず、これを無視した形で、投票率の急激な低下や無効票の増加といった議会制民主主義の根幹に関わる問題が明らかになっております。合区選挙区の弊害の大きさは今や明白であり、この弊害の解消を果たすことに否定する会派はないというふうに受け止めております。
次の参議院議員選挙、参議院通常選挙は二年後に迫っています。そのような中、昨年十二月以来、石井座長の下で進められている参議院改革協議会での議論も急がなければなりません。合区制度導入以来、鳥取、島根、高知、徳島、この四県がその弊害による影響を直接被り、また、全国知事会を始めとする地方六団体からも合区解消を訴え続けたにもかかわらず、既に十年が経過をしております。
参議院改革協議会では、院の在り方の方向性を議論され、その趣旨に基づく選挙制度について議論いただいているところですが、選挙制度の弊害は、例えば衆議院では、国勢調査ごとに頻繁に変わる選挙区割りにより、有権者に、どの選挙区なのか、また混乱が生じたり、衆議院議員と有権者の関係性が希薄になったりといった指摘があります。また、参議院では、合区選挙区の導入により自分の県の候補者や代表がいないという状況が生まれまして、政治的無関心を助長しておりますという問題が表層化していることに対しまして立法府としての意思を示す必要がありますし、さらには、緊急事態状況下で緊急集会が全国の声を集約する機能を発揮するにはいかなる憲法であるか、あるべきかということを虚心坦懐に議論を深化しなければならないと考えます。
現在の憲法が公布された昭和二十一年の人口調査では、当時、最大の東京都の人口と最小の鳥取県の人口は当時約二・六倍の開きでございましたが、直近の東京都の人口規模は鳥取県の二十四・七倍へと著しく拡大しております。まさに、大都市を有する都道府県の人口急増と地方の人口減少により、憲法制定当時とは全く異なる極端な人口偏在状況が生じており、ますますこの人口格差が拡大している現下の状況を鑑みたときに、人口以外の物差しも憲法の中に規定するということも考えるべきではないでしょうか。
さらに、参考人の意見として、これまで最高裁の多数意見が一票の較差を参議院通常選挙での選挙区のみで算出することに対して、令和五年の最高裁判決の少数意見にもあったように、選挙区選挙と比例代表選挙を総合的に見る総合的投票価値という値で計算すべきとの考え方も示されているところです。この考え方により令和七年の有権者数で較差を計算すると、最高裁がこれまで示してきた選挙区だけの較差は三・一二七倍となりますが、全国比例と選挙区を総合的に見ると二・一〇二になります。
人口の多い上位八つの都道府県の有権者で過半数を超える著しい人口偏在にある我が国において、現在の選挙区ごとの議席数でも四二%、選挙区と全国比例を一体的に見た議員数で見れば四六%と、ほぼ過半数という議席を現状有している状況にあります。人口のみを基準に選挙区定数を見直していけば、大都市部への人口集中が止まらない中、定数配分はますます偏ることになり、人口規模の大きな都道府県の声が国政においてより尊重され、全国民、全国土のきめ細やかな要望や課題に対応することはできない懸念が高まっています。結果、人口減に悩む地域の実情が国政に反映しにくくなり、大都市部への一極集中がますます加速するのではないかという懸念が深まるばかりでもございます。
このような弊害を抜本的に解消するには、地方の声が埋没しない選挙制度を保障する憲法改正議論の深化が不可欠だと考えています。
国立国会図書館に調査を依頼したところ、OECDに加盟している三十八か国の議会や選挙区選挙において、最広域の自治体より広域の選挙区を設け直接選挙を採用しているところは、我が国のこの参議院選挙、合区以外全くありません。やはり合区選挙は世界的に見ても極めて不自然な制度であるということが言えると思います。
例えば、ノルウェー憲法では、第五十七条に、各選挙区から選出されるノルウェー議会議員の数は、各選挙区の人口と面積の比率及び国土全体の人口と面積の比率に基づいて算出されると明記されています。過去、人口のみに基づく議席配分の結果、地方から都市へ議席が大きく移動し、地域間の不均衡が政治問題化したことから、人口だけではなく、面積の要素も加味して選挙区議席を決定する憲法改正を二〇〇三年にこのノルウェーでは行った、この条文が挿入されました。
選挙区の決定は、国土面積を考慮するノルウェーなどのほか、あるいは飛び地や離島の一体性ということも考慮すべきだとしているフランスなどもありまして、人口以外の要素について憲法に規定することは国際的に見ても全く不自然ではありません。人口だけを基準に選挙制度を決めていることで、健全な議会制民主主義の根幹をゆるがせにすることがあってはならないと考えています。
そこで、これまでの憲法審査会でも発言しましたとおり、我が党の憲法改正の条文イメージ、たたき台素案では、第四十七条一項には、両議院の議員の選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に判断して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるものとする、参議院の全部又は一部の選挙について、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも一人を選挙すべきものとすることができるとし、第二項において、前項に定めるもののほか、選挙区、投票の方法その他両議院の選挙に関する事項は、法律でこれを定めるというように、人口基準とともに、それ以外の行政区画、地域的な一体性、地勢といった要素を明記すべきであるというふうに考えています。
また、それと同時に、民主主義の基礎的単位である地方公共団体の市町村と、そして広域の地方公共団体の都道府県について、現行憲法では僅かに四条にすぎない地方自治の第八章を充実し、市町村と都道府県の基盤の安定化と地方自治の位置付けの強化を図ることが必要だと考えています。
その上で、第九十二条の条文イメージでは、地方公共団体は、基礎的な地方公共団体及びこれを包括する広域の地方公共団体とすることを基本とし、その種類並びに組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定めるとの言及を考えているところです。
前回の憲法審査会まで各会派の意見表明を伺ってまいりましたが、我が会派と同じ方向性、あるいは近いお考えの会派があるということも明確になってまいりました。こうしたことから、合区の解消と地方自治に関する憲法改正について方向性を整理すべきであるというふうに考えております。
また、幹事会でも呼びかけさせていただいておりますが、憲法に規定されている参議院独自の機能であり、かつ衆議院議員不在時の国会の代替機能である緊急集会、そしてそれを含む緊急事態条項についても、一刻も早く議論に入ることが我々参議院の責務であるというふうなことを申し上げさせていただいて、私の発言とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
0会会議録情報政府参考人など
令和八年五月二十日(水曜日)
午後一時開会
─────────────
委員の異動
四月二十二日
辞任 補欠選任
藤井 一博君 福山 守君
牛田 茉友君 足立 康史君
五月十九日
辞任 補欠選任
かまやち敏君 鈴木 大地君
小林 一大君 臼井 正一君
西田 英範君 生稲 晃子君
山本佐知子君 藤井 一博君
宮出 千慧君 大津 力君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 長浜 博行君
幹 事
…
この発言のページ
1
長浜博行(立憲)
ただいまから憲法審査会を開会いたします。
日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。
本日は、憲法に対する考え方についてのうち、参議院議員選挙における一票の較差について各会派の意見表明を各十分以内で行います。
発言時間につきましては、経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らしますので、あらかじめ御承知願います。
なお、御発言は着席のままで、また、氏名標はお立ていただかなくて結構でございます。
それでは、御意見を順次お述べいただきたいと思います。
中西祐介君。
この発言のページ
- (上の発言)
2
中西祐介(自民)
自由民主党の中西祐介でございます。
会派を代表して意見表明をさせていただきます。
参議院議員選挙において導入されている合区選挙は、政治的に一つのまとまりを有する単位、まさに民主主義のユニットである都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出すべきとの考えが有権者においてなお強いにもかかわらず、これを無視した形で、投票率の急激な低下や無効票の増加といった議会制民主主義の根幹に関わる問題が明らかになっております。合区選挙区の弊害の大きさは今や明白であり、この弊害の解消を果たすことに否定する会派はないというふうに受け止めております。
次の参議院議員選挙、参議院通常選挙は二年後に迫っています。そのような中、昨年十二月以来、石井座長の下で進められている参議院改革協議会での議論も急がなければなりません。合区制度導入以来、鳥取、島根、高知、徳島、この四県がその弊害による影響を直接被り、また、全国知事会を始めとする地方六団体からも合区解消を訴え続けたにもかかわらず、既に十年が経過をしております。
参議院改革協議会では、院の在り方の方向性を議論され、その趣旨に基づく選挙制度について議論いただいているところですが、選挙制度の弊害は、例えば衆議院では、国勢調査ごとに頻繁に変わる選挙区割りにより、有権者に、どの選挙区なのか、また混乱が生じたり、衆議院議員と有権者の関係性が希薄になったりといった指摘があります。また、参議院では、合区選挙区の導入により自分の県の候補者や代表がいないという状況が生まれまして、政治的無関心を助長しておりますという問題が表層化していることに対しまして立法府としての意思を示す必要がありますし、さらには、緊急事態状況下で緊急集会が全国の声を集約する機能を発揮するにはいかなる憲法であるか、あるべきかということを虚心坦懐に議論を深化しなければならないと考えます。
現在の憲法が公布された昭和二十一年の人口調査では、当時、最大の東京都の人口と最小の鳥取県の人口は当時約二・六倍の開きでございましたが、直近の東京都の人口規模は鳥取県の二十四・七倍へと著しく拡大しております。まさに、大都市を有する都道府県の人口急増と地方の人口減少により、憲法制定当時とは全く異なる極端な人口偏在状況が生じており、ますますこの人口格差が拡大している現下の状況を鑑みたときに、人口以外の物差しも憲法の中に規定するということも考えるべきではないでしょうか。
さらに、参考人の意見として、これまで最高裁の多数意見が一票の較差を参議院通常選挙での選挙区のみで算出することに対して、令和五年の最高裁判決の少数意見にもあったように、選挙区選挙と比例代表選挙を総合的に見る総合的投票価値という値で計算すべきとの考え方も示されているところです。この考え方により令和七年の有権者数で較差を計算すると、最高裁がこれまで示してきた選挙区だけの較差は三・一二七倍となりますが、全国比例と選挙区を総合的に見ると二・一〇二になります。
人口の多い上位八つの都道府県の有権者で過半数を超える著しい人口偏在にある我が国において、現在の選挙区ごとの議席数でも四二%、選挙区と全国比例を一体的に見た議員数で見れば四六%と、ほぼ過半数という議席を現状有している状況にあります。人口のみを基準に選挙区定数を見直していけば、大都市部への人口集中が止まらない中、定数配分はますます偏ることになり、人口規模の大きな都道府県の声が国政においてより尊重され、全国民、全国土のきめ細やかな要望や課題に対応することはできない懸念が高まっています。結果、人口減に悩む地域の実情が国政に反映しにくくなり、大都市部への一極集中がますます加速するのではないかという懸念が深まるばかりでもございます。
このような弊害を抜本的に解消するには、地方の声が埋没しない選挙制度を保障する憲法改正議論の深化が不可欠だと考えています。
国立国会図書館に調査を依頼したところ、OECDに加盟している三十八か国の議会や選挙区選挙において、最広域の自治体より広域の選挙区を設け直接選挙を採用しているところは、我が国のこの参議院選挙、合区以外全くありません。やはり合区選挙は世界的に見ても極めて不自然な制度であるということが言えると思います。
例えば、ノルウェー憲法では、第五十七条に、各選挙区から選出されるノルウェー議会議員の数は、各選挙区の人口と面積の比率及び国土全体の人口と面積の比率に基づいて算出されると明記されています。過去、人口のみに基づく議席配分の結果、地方から都市へ議席が大きく移動し、地域間の不均衡が政治問題化したことから、人口だけではなく、面積の要素も加味して選挙区議席を決定する憲法改正を二〇〇三年にこのノルウェーでは行った、この条文が挿入されました。
選挙区の決定は、国土面積を考慮するノルウェーなどのほか、あるいは飛び地や離島の一体性ということも考慮すべきだとしているフランスなどもありまして、人口以外の要素について憲法に規定することは国際的に見ても全く不自然ではありません。人口だけを基準に選挙制度を決めていることで、健全な議会制民主主義の根幹をゆるがせにすることがあってはならないと考えています。
そこで、これまでの憲法審査会でも発言しましたとおり、我が党の憲法改正の条文イメージ、たたき台素案では、第四十七条一項には、両議院の議員の選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に判断して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるものとする、参議院の全部又は一部の選挙について、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも一人を選挙すべきものとすることができるとし、第二項において、前項に定めるもののほか、選挙区、投票の方法その他両議院の選挙に関する事項は、法律でこれを定めるというように、人口基準とともに、それ以外の行政区画、地域的な一体性、地勢といった要素を明記すべきであるというふうに考えています。
また、それと同時に、民主主義の基礎的単位である地方公共団体の市町村と、そして広域の地方公共団体の都道府県について、現行憲法では僅かに四条にすぎない地方自治の第八章を充実し、市町村と都道府県の基盤の安定化と地方自治の位置付けの強化を図ることが必要だと考えています。
その上で、第九十二条の条文イメージでは、地方公共団体は、基礎的な地方公共団体及びこれを包括する広域の地方公共団体とすることを基本とし、その種類並びに組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定めるとの言及を考えているところです。
前回の憲法審査会まで各会派の意見表明を伺ってまいりましたが、我が会派と同じ方向性、あるいは近いお考えの会派があるということも明確になってまいりました。こうしたことから、合区の解消と地方自治に関する憲法改正について方向性を整理すべきであるというふうに考えております。
また、幹事会でも呼びかけさせていただいておりますが、憲法に規定されている参議院独自の機能であり、かつ衆議院議員不在時の国会の代替機能である緊急集会、そしてそれを含む緊急事態条項についても、一刻も早く議論に入ることが我々参議院の責務であるというふうなことを申し上げさせていただいて、私の発言とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
3
長浜博行(立憲)
吉田忠智君。
この発言のページ
4
吉田忠智(立憲)
立憲民主・無所属の吉田忠智です。
参議院議員選挙における一票の較差について、会派を代表して意見を申し上げます。
まず、参議院選挙の在り方について、我が会派は、参議院はより多様な立場の民意を反映させる院と捉えた上で、職域単位と地域単位という現行制度の枠組みを基本にすべきと考えます。そして、地域単位での民意の集約は、歴史的、政治経済的、文化的な観点や住民のアイデンティティーなどの観点から、都道府県単位が最も合理的であり、また国民にも広く定着しているところです。
他方、合区については、投票率の低下、無効投票、白紙投票の増加など民主制の根幹に関わる弊害が明…
この発言のページ
5
長浜博行(立憲)
川合孝典君。
この発言のページ