今村卓株式会社丸紅経済研究所代表取締役社長

2026年5月21日・第221回国会 参議院 経済産業委員会 第6号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 91 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 121 発言)

トランプ大統領が就任してから、四月でしたか、二五年の四月に、解放の日と称して相互関税等も含めた高関税政策がもう一気に導入されたわけであります。それを受けて今回のこの一連のイニシアティブにもなってきているところがありますけれども、現実に一年たってみて、かなり成果ははかばかしくなかったといったことが言えるかと思います。

御指摘のとおり、そもそも法的にもやはり違憲であったということが一つ出ておりまして、相互関税はその意味で失効というか、もう違憲になりまして、むしろ現在、その還付が始まっている状況です。これも、どれだけスムーズに還付するかを今競うという何とも不思議な状態になっております。

そしてさらに、残りの関税に関しても、例えば、トランプ大統領は、これは外国が払うのだ、あるいは外国企業が払ってアメリカ国民の負担なんて余りないということをおっしゃっていたわけですが、その後の実証分析を見ておりますと、やはり九割近くはアメリカ企業、アメリカ国民が負担しておりまして、それが今、足下、実際のアメリカのインフレにも少し影響しているところでございます。

そして、アメリカは、この十一月、中間選挙を控えておりますから、かなりこの関税が重荷になってきておりまして、先日の米中首脳会談でも、実際は中国に対する関税を引き下げるような話になってきたりということで、多分トランプ氏としても、今この関税に関して余り触れたくないというところに変わってきているところかと思います。

そして、もう一つの大きな狙いということで、今、製造業の復権があった、ないしは貿易収支の改善といったこともあったんですが、貿易赤字も余り変わっておりません。中国からのものはぐっと減りましたけれども、ほかのアジアから、ある意味迂回等を通じ、によって増えてきて、あるいはここ最近では台湾からの半導体の急速な輸入の増加によってやっぱり大きくなっている部分もありまして、余り変わっていないですし、加えて、製造業は復権の兆しすら見えないというところでございます。雇用もむしろなかなか伸びない状況でございまして、やはりアメリカ国内における製造業の復権はこういうことをやってみてもなかなか難しいのが現実にはちょっと表れてきているというところでありますので、ちょっとこれから先、関税政策をどこまで強く出してくるか、かなり疑問視していいところになってきているかと思います。

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