自由民主党の新藤義孝であります。
先週の審査会では、憲法審査会の今後の議論についてをテーマに、各会派から積極的な意見が述べられました。
その中で、ある程度テーマを絞って具体的に議論をピン留めしながら進めていくべきであり、緊急事態条項に関しては、選挙困難事態における選挙期日、議員任期の特例の創設を含む緊急事態における国会機能維持についての議論が進んでいるという御指摘がありました。また、条文起草に着手すべきではないかという意見もございましたし、さらに、いついかなる事態にあっても国民を守り抜くことを大前提としつつ、緊急時における措置が濫用されることのないよう民主的統制の観点から議論を深める必要がある、こういった意見もございました。
全体的に、緊急事態条項について更に論点を詰めていくべきではないかという声が多くあったのではないかと私は承知をしております。
そこで、本日は、それらの意見を受けまして、私なりにこれまでの緊急事態条項についての議論を改めて整理をさせていただきたい、このように思います。
まず、この論点の意義は、憲法上、衆議院議員の任期は四年、参議院議員の任期は六年とされているところ、緊急事態が発生して適正な選挙執行が行えなくなった場合に、選挙期日を延期し、それに伴って議員任期も延長することにより、いついかなる場合にも国会機能を維持しようとするところにございます。
その対象となる緊急事態の範囲につきましては、大規模自然災害に加え、テロ・内乱、感染症蔓延、国家有事・安全保障を含めた四つの事態と、その他これらに匹敵する事態とすることが適切なことについて、当時の自民党、公明党、日本維新の会、国民民主、そして有志の会の五会派の賛同をいただき、この五会派においてはおおむね意見集約がなされたわけであります。
これらの事態の発生によりまして適正な選挙実施が困難な状態に陥った場合という要件を満たしたとき、選挙期日を延期し、それに併せて議員任期も延長するというのが、私たちが提起をしている、選挙困難事態における議員任期の延長の基本的な仕組みでございます。
なお、ここに言う適正な選挙実施が困難な状態についての判断要素といたしましては、まず、日本全国で一斉に行われるべき国政選挙の一体性が害されるほどの広範な地域で選挙の適正実施が困難であるといういわゆる広範性の要件、それから、参議院の緊急集会での対応がどうしても難しいほどの長期性の要件、こういった二つで判断することになります。
したがって、今後は、この広範性と長期性という二つの要件の具体的な基準について更に議論を深化させる必要があるのではないか、このように思っているわけであります。
次に、この事態認定は内閣が行うこととし、民主的統制の観点から国会の事前承認を要することについても、おおむね意見は一致しております。
残る問題は、この国会承認の際の議決要件に関し、過半数とするか三分の二以上の多数とするかといった論点です。
これについては、現行憲法の議決要件を比較検討するなどの丁寧な議論が必要であり、この点を深掘りした論点整理については、本テーマを集中的に議論する際、改めて問題提起をしたい、このように思います。
このほかにも、選挙困難事態における議員任期の延長の濫用を防止する観点から、内閣、国会による事態認定の適正さを担保するための裁判所の関与の在り方、そして任期延長期間の上限設定などについても、具体的な制度設計の中で議論を深掘りしていく必要があるわけです。
更なる論点として、衆議院の解散後に選挙困難事態に陥り総選挙の執行ができなくなった、そうした場合における対応策が挙げられます。解散によって衆議院議員はその身分を失っておりますから、任期を延長しようにも、その基本となる身分自体がないわけです。そこで、一旦解散の効果をなくして前衆議院議員の身分を復活させることが必要になります。
衆議院議員については、戦後これまで、任期満了選挙が行われたのは一度しかございません。選挙困難事態への現実的な対応を考えた場合、解散後の緊急事態発生の際の身分復活は極めて重要な問題になるのではないでしょうか。この点についても、更に論点を絞り、具体的な検討が必要だと考えております。
これらに加えまして、緊急事態条項に関しましては、重要な論点が残っています。それは、緊急政令と緊急財政処分についてであります。
国会議員の任期延長などの措置を講じてもなお国会機能がどうしても維持できない事態、すなわち、国会を開くことができない、また議員が参集できないといった事態のことであります。そのような万が一の場合でも国家としての機能を維持し、国と国民の安全を守っていくためには、一時的に法律や予算と同様の効力を有する緊急政令の制定権や緊急財政処分の権限を内閣に付与することは、国家運営にとって死活的に重要な事項であります。もちろん、そこで取られた措置については事後的に国会承認を必要とするなど、民主的統制の制度を併せ講じることも極めて重要な事項です。
以上、本日は、緊急事態条項に関しての論点と残された課題について、その概略を申し上げました。
私としては、ここまで議論が進んでいることを踏まえれば、更に論点を深めるためにも、次回の審査会でこのテーマに関する集中的な討議を行ってはいかがかというふうに提案をしたいと思います。この取扱いにつきましては、本日まさにこれから各会派からの御意見があると思いますので、その御意見、御発言を参考にしながら筆頭間で是非御協議させていただきたい、このように思っております。
次回、審査会における緊急事態条項に関する集中的討議について、各会派の御意見を是非とも頂戴したいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げまして、私の発言といたします。
ありがとうございました。
0会会議録情報政府参考人など
令和八年四月十六日(木曜日)
午前十時開議
出席委員
会長 古屋 圭司君
幹事 鬼木 誠君 幹事 北神 圭朗君
幹事 新藤 義孝君 幹事 鈴木 英敬君
幹事 高階恵美子君 幹事 和田 義明君
幹事 國重 徹君 幹事 馬場 伸幸君
幹事 浅野 哲君
秋葉 賢也君 阿部 弘樹君
石井 拓君 石川 昭政君
石橋林太郎君 井出 庸生君
伊藤信太郎君 稲田 朋美君
大野敬太郎君 岡本 康宏君
加藤 勝信君 木村 次郎君
下村 博文君 高木 宏壽君
武井 俊輔君 棚橋 泰文君
…
この発言のページ
1
古屋圭司(自民)
これより会議を開きます。
日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。
本日は、憲法審査会におけるこれまでの議論を踏まえた今後の議論について討議を行います。
この討議につきましては、幹事会の協議に基づき、まず、各会派一名ずつ大会派順に発言していただき、その後、各委員が自由に発言を行うことといたします。
それでは、まず、各会派一名ずつによる発言に入ります。
発言時間は七分以内といたします。
質問を行う場合、発言時間は答弁時間を含めて七分以内といたしますので、御留意願います。
発言時間の経過につきましては、…
この発言のページ
- (上の発言)
2
新藤義孝(自民)
自由民主党の新藤義孝であります。
先週の審査会では、憲法審査会の今後の議論についてをテーマに、各会派から積極的な意見が述べられました。
その中で、ある程度テーマを絞って具体的に議論をピン留めしながら進めていくべきであり、緊急事態条項に関しては、選挙困難事態における選挙期日、議員任期の特例の創設を含む緊急事態における国会機能維持についての議論が進んでいるという御指摘がありました。また、条文起草に着手すべきではないかという意見もございましたし、さらに、いついかなる事態にあっても国民を守り抜くことを大前提としつつ、緊急時における措置が濫用されることのないよう民主的統制の観点から議論を深める必要がある、こういった意見もございました。
全体的に、緊急事態条項について更に論点を詰めていくべきではないかという声が多くあったのではないかと私は承知をしております。
そこで、本日は、それらの意見を受けまして、私なりにこれまでの緊急事態条項についての議論を改めて整理をさせていただきたい、このように思います。
まず、この論点の意義は、憲法上、衆議院議員の任期は四年、参議院議員の任期は六年とされているところ、緊急事態が発生して適正な選挙執行が行えなくなった場合に、選挙期日を延期し、それに伴って議員任期も延長することにより、いついかなる場合にも国会機能を維持しようとするところにございます。
その対象となる緊急事態の範囲につきましては、大規模自然災害に加え、テロ・内乱、感染症蔓延、国家有事・安全保障を含めた四つの事態と、その他これらに匹敵する事態とすることが適切なことについて、当時の自民党、公明党、日本維新の会、国民民主、そして有志の会の五会派の賛同をいただき、この五会派においてはおおむね意見集約がなされたわけであります。
これらの事態の発生によりまして適正な選挙実施が困難な状態に陥った場合という要件を満たしたとき、選挙期日を延期し、それに併せて議員任期も延長するというのが、私たちが提起をしている、選挙困難事態における議員任期の延長の基本的な仕組みでございます。
なお、ここに言う適正な選挙実施が困難な状態についての判断要素といたしましては、まず、日本全国で一斉に行われるべき国政選挙の一体性が害されるほどの広範な地域で選挙の適正実施が困難であるといういわゆる広範性の要件、それから、参議院の緊急集会での対応がどうしても難しいほどの長期性の要件、こういった二つで判断することになります。
したがって、今後は、この広範性と長期性という二つの要件の具体的な基準について更に議論を深化させる必要があるのではないか、このように思っているわけであります。
次に、この事態認定は内閣が行うこととし、民主的統制の観点から国会の事前承認を要することについても、おおむね意見は一致しております。
残る問題は、この国会承認の際の議決要件に関し、過半数とするか三分の二以上の多数とするかといった論点です。
これについては、現行憲法の議決要件を比較検討するなどの丁寧な議論が必要であり、この点を深掘りした論点整理については、本テーマを集中的に議論する際、改めて問題提起をしたい、このように思います。
このほかにも、選挙困難事態における議員任期の延長の濫用を防止する観点から、内閣、国会による事態認定の適正さを担保するための裁判所の関与の在り方、そして任期延長期間の上限設定などについても、具体的な制度設計の中で議論を深掘りしていく必要があるわけです。
更なる論点として、衆議院の解散後に選挙困難事態に陥り総選挙の執行ができなくなった、そうした場合における対応策が挙げられます。解散によって衆議院議員はその身分を失っておりますから、任期を延長しようにも、その基本となる身分自体がないわけです。そこで、一旦解散の効果をなくして前衆議院議員の身分を復活させることが必要になります。
衆議院議員については、戦後これまで、任期満了選挙が行われたのは一度しかございません。選挙困難事態への現実的な対応を考えた場合、解散後の緊急事態発生の際の身分復活は極めて重要な問題になるのではないでしょうか。この点についても、更に論点を絞り、具体的な検討が必要だと考えております。
これらに加えまして、緊急事態条項に関しましては、重要な論点が残っています。それは、緊急政令と緊急財政処分についてであります。
国会議員の任期延長などの措置を講じてもなお国会機能がどうしても維持できない事態、すなわち、国会を開くことができない、また議員が参集できないといった事態のことであります。そのような万が一の場合でも国家としての機能を維持し、国と国民の安全を守っていくためには、一時的に法律や予算と同様の効力を有する緊急政令の制定権や緊急財政処分の権限を内閣に付与することは、国家運営にとって死活的に重要な事項であります。もちろん、そこで取られた措置については事後的に国会承認を必要とするなど、民主的統制の制度を併せ講じることも極めて重要な事項です。
以上、本日は、緊急事態条項に関しての論点と残された課題について、その概略を申し上げました。
私としては、ここまで議論が進んでいることを踏まえれば、更に論点を深めるためにも、次回の審査会でこのテーマに関する集中的な討議を行ってはいかがかというふうに提案をしたいと思います。この取扱いにつきましては、本日まさにこれから各会派からの御意見があると思いますので、その御意見、御発言を参考にしながら筆頭間で是非御協議させていただきたい、このように思っております。
次回、審査会における緊急事態条項に関する集中的討議について、各会派の御意見を是非とも頂戴したいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げまして、私の発言といたします。
ありがとうございました。
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古屋圭司(自民)
次に、國重徹君。
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4
國重徹(中道)
中道改革連合の國重徹です。
前回の審査会では、まず私たち中道改革連合の理念と憲法に対する考え方、そして憲法論議に臨む基本姿勢を申し述べました。具体的には、主として、立憲主義を政治の土台とし、権力の濫用を防ぎ、個人の尊厳と国民の権利を守ること、これが私たちの基本姿勢であること、そして、改憲それ自体を目的とする立場にも、現行憲法を固定的に捉え、時代や社会の変化に伴う新たな課題に目を閉ざす立場にも立たないこと、さらに、憲法論議において私たちが何より重んじるのは個人の尊厳と国民の権利をいかに実効的に保障するのかという点であることを述べました。
先週の審査会で…
この発言のページ
5
古屋圭司(自民)
次に、西田薫君。
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