大和田秀二早稲田大学名誉教授

2026年4月24日・第221回国会 衆議院 環境委員会 第6号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 2 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 99 発言)

ただいま御紹介いただきました早稲田大学の大和田といいます。

本日は、こういった発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

私は、元々根っから技術屋でございますので、主に技術の立場から太陽光パネルのリサイクルについて、できるだけ簡潔に、十五分でございますので、要点だけを絞って今回申し上げたいと思います。

本日、特に申し上げたいと思っておりますのは、資源循環、これは太陽光パネルだけではございませんけれども、資源循環の必要性ということ、それからリサイクル技術の現状と課題、これは太陽光パネルに限っておりますけれども、そして今回提出されました本法案の課題と評価というのを、個人的な見解を申し上げたいというふうに思います。

それでは、スライドの二番目でございますけれども、まず資源循環の必要性でございます。

太陽光パネルに限らず、資源制約や環境負荷の観点から、持続型社会の構築のためには、資源循環の重要性は今後ますます高まってきているというふうに考えております。

特に近年は、天然資源が劣化している、枯渇懸念とか、それから品位が低下しているとか、あるいは組織の複雑化によって生産コストが非常に上昇している。特に昨今は、政治的な状況も相まって非常に危機的な状況にあるというふうに考えております。それに伴って、資源価格の変動だとか供給リスクも顕在化しているところでございまして、御存じのようにEU等での規制強化が大変叫ばれておりますけれども、それもさることながら、資源循環は経済安全保障の観点からも非常に重要な課題というふうに考えております。

太陽光パネルについてですけれども、導入の拡大から一定期間が経過いたしまして、今後、大量廃棄の時代に入ることが確実視されておりまして、この問題は時間的に非常に先送りのできない性質を持っているというふうに考えています。

特に、二〇三〇年代後半には、御存じのように、大量廃棄、年間最大四十から五十万トンというふうに予想されておりまして、現状では、残念ながらリサイクルされずに最終処分あるいは海外流出が非常に多い状況というふうに考えております。また、それがあって、不適正な処理だとかそれから不法投棄あるいは不法放置、こういったようなことも懸念をされている状況であります。

仮にこうしたことに十分な対応が取られないと、需給関係のバランスから、当然、将来的に廃棄物処理コストが増大する、それから不適正処理処分のリスクがまた増大する、そして海外流出の場合には、日本の貴重な資源、昔は廃棄物資源と呼んでおりましたけれども、我々は今は人工資源、天然資源に対してそういう呼び方をしておりますけれども、これの散逸、こういった問題が顕在化してくるというふうに考えております。

結果として、社会コストが大幅に増大する可能性があるということが今、現状というふうに考えております。

したがって、本法案の速やかな施行というのも非常に重要であって、今後、いろいろな課題はまだございますけれども、第一歩として非常に重要であると評価をしているわけでございます。

スライドの三枚目、三ページでございますけれども、では、まず太陽光パネルから何が取れるのかということでございますけれども、もうこれも御存じだと思いますが、まずは太陽光パネルの素材構成です。現在の素材構成に従って、リサイクル技術の現状と課題について申し上げます。

まずは、太陽光パネルの素材構成、ここに示されたとおりでございますけれども、回収すべきは、付加価値の高いものとしては、アルミと銀と銅、貴金属類でございますけれども、これらの回収法は、回収率が非常に高いという状況ではありませんけれども、ほぼ確立していると言っていいかと思います。

ただ、重量で六〇%程度を占めるガラスの回収、そしてその産物の利用方法、ここが技術開発の重要な課題になっているというふうに思っています。特に、技術的に重要なのは、ちょっと細かくなりますけれども、ガラス層とそれからセル層を接着している樹脂層、これは通称EVA、エチレンビニールアセテートといいますけれども、そのEVAの、この二つのものの分離というのが大きな課題というふうに考えております。

スライドの四に移っていただきまして、技術開発の現状でございますけれども、こうした技術開発は、過去十数年にわたって、もう二十年近くになると思いますけれども、NEDOを中心にして進められておりまして、代表的なものはここに挙げました五つでございます。

一番から、EVAの熱分解、それからホットナイフに代表されるガラス層とEVA層の界面の切断。それから三番目は、ブラスト法などでガラスを破壊して、その破壊されたものを再利用するということ。それから四番は、パネル全体のシュレッダー破砕、これはランダムに破砕をして、その後選別をしていくということでございます。それから五番目、これはシュレッダー破砕した後にそのまま埋立処分をしてしまうというようなものが現状で行われている方法と考えています。

ただ、こういった方法は、上位のもの、一、二、三番については比較的価値の高い産物が得られますけれども、特に四番、五番では、なかなか資源回収、いわゆる人工資源のリサイクルという意味では非常にまだ弱いところがありまして、ただ、最初の三番目は比較的やはり処理量が余り稼げない手法でございまして、四番、五番は比較的大量処理が得られるということで、現状でいいますと、量と質を同時に満足するような手法というのがいまだ開発されていないというのが現状、まだ途上であるというのが現状というふうに考えております。

次に、スライドの五番でございます。各ガラス回収技術の特徴でございますけれども、こちらは現状のガラス回収技術の特徴を、横軸に処理能力、それから縦軸に得られるガラスの質、これの関係を表しています。

そのおおよその傾向ですけれども、今申し上げたように、右下にあるようなシュレッダー破砕、ランダムな破砕では、処理能力は高いですけれども、得られるガラスの質は低く付加価値を生みにくい状況である。左上にあるセパレーター法とかホットナイフ法というのは、得られるガラスの質は高いんですが、残念ながら処理能力が低い状況で、技術の傾向としては、処理能力と得られるガラスの質というのはトレードオフの関係でございまして、右上から左下に向かって技術は並んでいるというのが状況でございます。

これを解決するのが中央上部にあるような全体加熱する方法であるだとか、右少し上にあります特殊破砕、特殊選別というような方法であって、こうした技術開発、そしてその方法をより低コストで実施されることというのが望ましいというふうに思っております。

得られるガラスの質を維持しつつ、そのコストを下げていくというのが必要でございまして、そのためには、やはりまだ一定の技術開発期間と継続的な投資支援というのが必要というふうに考えております。

次に、六ページ目、スライドの六番です。

太陽光パネル技術の現状と課題でございますけれども、これをまとめてみますと、ここに挙げます五つぐらいかというふうには思っております。

一番目ですけれども、これは、資料にちょっとアルミを入れるのを忘れてしまいましたけれども、アルミ、銀、銅、この回収技術は、先ほど申しましたように、適切な解体と破砕と選別でほぼ完成している。

二番は、課題は、ガラス、そして、できることならばセルの中にあるシリコン、これの回収というのが重要かというふうに思っております。ガラスについては、現状で、路盤材はもとより、グラスファイバー原料としての道筋というのは見えてきたというふうに思っておりますけれども、なるべく我々は質の高いリサイクルをしたいというふうに考えていて、いわゆる水平リサイクルという言葉がありますけれども、それであるところの板ガラスの原料としてこれを使いたいということがあります。これにはまだ大きな課題が残っていると考えています。

三番目は、今申し上げたとおりです、大量処理と高純度産物製造のトレードオフの関係があります。

それからまた、その処理能力に関しては、ここにも書いてございますが、日本全体の現状の処理能力は十一万トン・パー・イヤーというところでございまして、まだその大量排出量には耐えられるような状況にはないというのも一つの現状です。

それから四番目、処理費。

これは、生産された素材の売却益も含みますけれども、これをなるべく低減したいということで、NEDOでは、事業目標として、ここに書いてあるような、ワット当たりですけれども、年度ごとに、五円、三円、そして昨年度からは二円というのを目標に掲げて、いろいろな新規的な技術開発を公募しているという状況でございます。

ただ、これは、現状は大体、およそ、多分八円から十円ぐらいかなというふうに思っておりますけれども、ここのNEDOの目標というのは、あくまでも大量廃棄が出て、そしてスケールメリットがあるという、この状況を加味してのものでございまして、現状ではまだこれが達成できていないというふうに考えております。

最後、五番目ですけれども、ペロブスカイトパネルのリサイクル技術です。

これも、御存じのように、ペロブスカイトの重要な素材としてヨウ素がございますけれども、これは日本に潤沢に資源があるということで、国策としても非常に重要というふうに考えておりますけれども、このリサイクル技術開発はまだ緒についたばかりでございます。NEDOでも、昨年度からやっとその技術開発の支援を始めたばかりでありまして、今後、更なる推進が望まれるというふうに思っております。

最後です、七番目、本法案の課題と評価ということでございます。

本法案は、冒頭に申し上げましたように、まずは、現状の太陽光パネルリサイクル課題を早急に解決するために、制度を整備しなければいけない、その第一歩として非常に重要というふうに考えております。ただ、今後、段階的に改善すべきものもあると考えておりまして、それが下に挙げました主に三つでございます。

まずは、現状の法案は、いわゆる排出者責任ということで、排出する者がその処理の責任を負うというのが現状の法案でございます。ところが、これは、EUを始めとして、まあEUだけではございませんけれども、基本的に資源循環型社会をつくるというようなことにおきましては、やはり生産者がその責任を負うというような、そういう社会をつくっていかなければ適正な循環型社会はできないというふうに考えておりますので、その辺りを段階的にいろいろ改善していくべきだろうというふうに思います。

それから、もう一つ、これは今申し上げたことと関連しますけれども、環境配慮設計の推進、これは我々はもう四十年ぐらい前からお話をしていますけれども、なかなか進んでいきませんが、ここでは、環境配慮設計というのは、解体しやすい、リサイクルしやすい設計にその製品の状態からしてほしいということでございまして、これによってリサイクル処理コストの大幅な低減が可能になりますので、強く推進すべきというふうに考えています。

また、このことは、法律的に言うと拡大生産者責任でございますけれども、これがこの環境配慮設計の大きな原動力になるとも考えております。

それから、三番目です。

適正な国内リユースの推進は、二〇〇〇年に太陽光パネルのリサイクルの会議体というものが発足をしたんですけれども、このときから私は申し上げておりますが、とことんリユースをやはりしっかりと実現していきたいなというふうに考えております。

今、残念ながら、適正なものももちろんあるんですけれども、海外にリユースとして流れているものが実は統計には余り出てきませんけれども、かなり多くのものが流れているという現状がございます。これは、適正に行えれば一つのきちっとした解というふうに思っておりますけれども、海外での不適正処理だとか、それから環境破壊につながる可能性もあるというふうに考えておりまして、そしてまた、日本としては貴重な資源の流出ということにもなりますので、できることならば国内のリユース、それからリサイクルも含めてでありますけれども、こういったシステムの構築が重要というふうに考えております。

最後に、本法案の個人的な評価、末尾に挙げさせていただきました。さきにも申しましたように、本法案は、今後の太陽光パネルの廃棄量の増加対策として早急に成立させるべきものというふうに考えています。現状では、今述べましたような課題も幾つかございますけれども、これらは実は太陽光パネルに限らず、他の日本の資源循環関連法全体の課題でもあるわけでございまして、それらの法案との整合性を考慮しますと、本法案は、現状で太陽光パネルリサイクル推進に資する非常に合理的な内容になっているというふうに考えております。

私からの発言は以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

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