小泉悠東京大学先端科学技術研究センター准教授

2025年2月19日・第217回国会 参議院 外交・安全保障に関する調査会 第2号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 31 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 90 発言)

ありがとうございます。

まず、停戦が成立しない可能性を考えてみたいんですよね。米ロがもうそういうことで決めてしまって、トランプがウクライナに対してもう諦めよと引導を渡すというときに、もうやむを得ないなとなる可能性が半分ぐらいあるとして、もう半分ぐらいそれでも抵抗を続けるという可能性は私はあると思っています。

EUその他の国々の援助でやれる形で抵抗を継続するというふうに政治指導部が決定した場合、もしも私がウクライナ軍の参謀総長だったら、それなりの方法は考えると思うんですよ。例えば、これから先一年掛けてドネツク州の残りは明け渡しながら後退していくつもりだったけれども、じゃ、これをドニプロまで防衛線を後退させて抵抗を継続すると。あと二年ぐらいやればロシアもさすがに継戦能力が限界になるというふうに見られているので、そこまで粘るんだとかという可能性はあると思うんですね。

そのときに、やっぱり私はまず日本ができるだろうと思うのは、アメリカがもはや民生援助さえ削り始めているという中で、人間の命とか社会の活動を守るための支援というのは、じゃ、そこで日本がある程度面倒見るからということは言えるんじゃないかというのが第一点です。

もう一個は、ここのレジュメの一番最後のところに書いているんですけど、建機を送ってあげたらいいんじゃないかというふうに思っています。

今、日本からもすごくたくさんJICAが建機を供与していて、これは大変にウクライナで感謝されているんですけれども、現場の話聞くと、やっぱり、日本からJICAの枠で送られてくる限りにおいては、軍事転用しないんですよねという念を押されてやっぱり送られてくるというわけですよね。でも、今ウクライナ軍が前線で必要としているのは要塞を掘る能力なんですよ。ロシア軍はやはりこの要塞を掘る工兵能力が極めて高い軍隊なので、二〇二三年にウクライナ軍の反転攻勢を真っ正面で受け止めたわけですね。ウクライナ軍の場合はここまでの工兵能力がないので、やはり、しかも兵力も足りない、火力も足りないという中で、どうしたってロシア軍に対してじわじわと後退を余儀なくされている。ウクライナ軍にもっと大きな工兵能力を与えることができれば、非殺傷で、なおかつ現在の戦線をなるべくもたせるという非常に戦略的インパクトの大きな支援になると私は思っています。なので、これを是非考えたらいいんじゃないかと。

戦後の復興については、もう本当に広瀬先生が今おっしゃったとおりだと思っています。あと、産業振興というのは、これ、実際食べていける方法を考えるとか、これはもうそれぞれの分野の専門家の方からいろんな有益な援助があると思うんですけど、私が、やはり戦後、戦闘が終わった後にでもいいから、ウクライナに対しては軍事援助をすべきだと思っています。それは、この戦争だけで終わらない可能性が高いからですね。ウクライナに対してどのぐらいキャパシティービルディングができるかによって、次のロシアの侵略のコスト計算を変えることができると。紛争当事国ではないということになってからでもいいから、やれることをやるべきだと思います。

最近、私に面会したあるウクライナ人の有識者が、自分でリスト持ってきたんですよ。これとこれとこれあるだろうと、これもうウクライナ軍で運用していて訓練なしで使えるからくれとまで言ってくるわけですね。申し訳ないけどそれはできないと言うんですけれども、戦闘が終わった後にそれを是非検討すべきだと思います。

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