お答え申し上げます。
刑訴全体の趣旨に関わるというふうに申し上げた点について、敷衍して説明をさせていただきます。
まず、通常の有体物を差し押さえた場合というのを念頭に置いていただきたいんですけれども、例えば被疑者の自宅にあった日記帳を差し押さえたという場合には、多くの場合、警察官はその日記帳原本を触ると証拠を破壊してしまうリスクというものもありますので、それを直ちにコピーを取った上で、そのコピーの方を捜査で活用するというような形になっております。その日記帳の差押えが違法だという形で取り消された場合には、当然、日記帳は相手方に返すことになるわけですけれども、その日記帳のコピーを廃棄するのかと言われますと、それは、現行刑訴法上、廃棄すべきという規定は存在しません。
同じように、記録命令付差押えというものが現行法上ありますけれども、その際に電磁的記録媒体という形で提供された電子データがあるわけですが、その電子データについても、その物自体を捜査に活用するとまた破損するリスクがありますので、コピーを取った上で捜査に活用するというのが実情でございます。記録命令付差押えの場合、相手方の記録媒体である場合には、違法な処分であった場合には記録媒体は返しますけれども、そのコピーを取ったデータを廃棄するということにはなっていないわけです。
ですので、現行刑訴法におきましては、基本的な考え方としましては、違法な処分があったとしても、当該物は返還するとしても、その複写のものまで全て廃棄するという規律にはなっていないわけでございます。
先生が御指摘の電磁的記録提供命令の場合には、データが来るのであるから、データの処分が取り消された場合には、データを消去しろということになりますと、今申し上げた前提の部分、現行法上の規律との整合性が問題になってまいりますので、その部分も全て変えるのかということになりまして大掛かりな検討が必要になるというふうに意見を申し上げた次第でございます。
以上です。
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矢倉克夫(公明)
ありがとうございます。
続いて、成瀬参考人に、また今のこの捜査機関が令状によって電子データ取得する手続の関係ですけど、今おっしゃったアメリカの方の連邦刑事訴訟規則九十一条で、それで書いている限りだと、アメリカの方では、捜査機関が令状に基づいてサービスプロバイダーからデータの提供を受けたり、ハードディスクドライブを押収してデータを取得した後、その中から令状の対象となるデータを期限付で選別する、で、この選別されたデータのみを取得するという手続があるというふうに聞いたことがあるんですが。
こういう実行困難な方法によることなく捜査機関の手元に保存されるような…
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36成成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授
今委員が御指摘のとおり、アメリカは五十州ございますし、連邦もあるということで、法域ごとにかなりルールが異なるわけでございますが、一部の法域においては、データを提供させるに当たっても、まず第一段階として事業者からデータを提出させて、その上で更にそのデータを選別する過程を二段階目として設ける法域というものもございます。
ただ、それはアメリカの全法域で一般的に行われているものではなくて、私自身が認識している限りでは、アメリカも多くの法域においては、日本と同様に、一度裁判官の令状審査をかませてデータを提供させて、その上で被疑事実に関連するデータを捜査機関側で精…
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矢倉克夫(公明)
ありがとうございます。
ちょっと、じゃ、次にまた済みません、成瀬参考人、また引き続きで恐縮ですけど、先ほど、電磁的記録の保管、消去の部分で、これ刑事訴訟法体系全体を考える問題である、その趣旨をまた詳しく教えていただきたいのと、一方で、河津参考人からは、これに関連したところで、要は有体物を想定している今の下でこの消去の規定がないということが、じゃ、今回のような無体物、情報データを想定しているもの、同じようになくていいという話じゃないというような御意見があったと思うんですけど、それについての成瀬参考人の御意見をいただきたいなと。あわせて、それについて河津参…
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- (上の発言)
38成成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授
お答え申し上げます。
刑訴全体の趣旨に関わるというふうに申し上げた点について、敷衍して説明をさせていただきます。
まず、通常の有体物を差し押さえた場合というのを念頭に置いていただきたいんですけれども、例えば被疑者の自宅にあった日記帳を差し押さえたという場合には、多くの場合、警察官はその日記帳原本を触ると証拠を破壊してしまうリスクというものもありますので、それを直ちにコピーを取った上で、そのコピーの方を捜査で活用するというような形になっております。その日記帳の差押えが違法だという形で取り消された場合には、当然、日記帳は相手方に返すことになるわけですけれども、その日記帳のコピーを廃棄するのかと言われますと、それは、現行刑訴法上、廃棄すべきという規定は存在しません。
同じように、記録命令付差押えというものが現行法上ありますけれども、その際に電磁的記録媒体という形で提供された電子データがあるわけですが、その電子データについても、その物自体を捜査に活用するとまた破損するリスクがありますので、コピーを取った上で捜査に活用するというのが実情でございます。記録命令付差押えの場合、相手方の記録媒体である場合には、違法な処分であった場合には記録媒体は返しますけれども、そのコピーを取ったデータを廃棄するということにはなっていないわけです。
ですので、現行刑訴法におきましては、基本的な考え方としましては、違法な処分があったとしても、当該物は返還するとしても、その複写のものまで全て廃棄するという規律にはなっていないわけでございます。
先生が御指摘の電磁的記録提供命令の場合には、データが来るのであるから、データの処分が取り消された場合には、データを消去しろということになりますと、今申し上げた前提の部分、現行法上の規律との整合性が問題になってまいりますので、その部分も全て変えるのかということになりまして大掛かりな検討が必要になるというふうに意見を申し上げた次第でございます。
以上です。
39河河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長
附則四十条でまさに定めていただきましたように、デジタル社会において個人情報保護の重要性がより社会的に認知されるようになっているということを踏まえる必要があるだろうと思います。
今回のデジタル法案は、旧来の刑事訴訟法全般をデジタル化していこうというものですから、それにふさわしい国民のプライバシーを保護する仕組みをつくる必要があるだろうということです。
先ほども申し上げましたけれども、通信傍受法には既にその記録を消去する仕組みというものが設けられていますし、いわゆる撮影新法におきましても、電磁的記録の消去、さらにそれには複写物を含めた消去の仕組みというの…
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矢倉克夫(公明)
大変参考になりました。お二人、誠にありがとうございます。
また、ちょっと、じゃ、河津参考人に。問いだけになってしまうかもしれません。
電磁的記録命令を受けた者が当該電磁的記録にアクセスすることが不正アクセスに該当するというような場合、不正アクセスを理由として当該電磁的記録を提供することが罰則の対象となるかどうかについて、何か御意見があれば伺いたいなと思うところですが。
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41河河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長
電磁的記録提供命令を受けた者がその電磁的記録を提供することが不正アクセスに該当してしまう場合にその義務を履行する必要があるのか、あるいは履行することが許されるのかということについて、法務省の方でどのようにお考えになっているのかというのは私も聞いてみたいと思います。
ただ、実際、この命令を受けた時点でこの電磁的記録を利用する権限を有していない、ただし、事実上この電磁的記録を利用するために必要な情報を有しているという場合に、この電磁的記録にアクセスすることがいわゆる不正アクセスに該当してしまう場合というのはあり得るように思われます。
私は、この法は不法な…
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