お答え申し上げます。
私は刑事訴訟法を専攻しておりまして、刑法の分野については専門家ではないんですけれども、まず、法制審議会の刑事法部会におきましては、刑法を専攻する研究者の委員、幹事の方もいらっしゃって、この秘密保持命令に違反した場合の法定刑がどうあるべきかということについて慎重に議論が行われたということをまず報告させていただきます。
その上で、この秘密保持命令に違反した場合がなぜ刑法の百三十四条の秘密漏示罪よりも法定刑が重くなっているのかという点について、私の考えを申し上げたいと思います。
先ほどの意見表明の中でも申し上げたとおり、秘密保持命令というのは、情報主体に電磁的記録提供命令が発令されたことが伝わると、逃亡、罪証隠滅が生じるおそれが高いというふうにうかがわれる場合に、そのことを裁判官の事前の許可を得た上で発令するものでございます。
そのような状況、かなり限られた状況でございますので、そのような状況におきまして事業者が情報主体に対してその秘密保持命令に反して当該命令、電磁的記録提供命令が発令されたことを告げた場合には、その逃亡、罪証隠滅という重大な事態が発生することが強く想定されるわけです。しかも、これは捜査の初期段階で使われることもあり得るわけですから、当該事件の真相解明が不可能になってしまうこともあり得るということになります。そのようなことを考えた場合に、まあ法益自体は異なるわけですけれども、今回定められている拘禁刑で一年以下というような形で法定刑を設定することは、私は合理性があるというふうに考えております。
また、罰金額が三百万円以下になっているという点につきましても、今回対象になっているのは電磁的記録を保管している事業者等が念頭に置かれているものですので、刑法百三十四条の個人を対象とする刑罰と法人も念頭に置かれた上での罰金額というのは一概には比較はできないものというふうに考えておりまして、三百万円になっている点についても私は合理性があるというふうに考えております。
以上です。
10河河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長
今、成瀬参考人御指摘になったとおり、保護法益が異なりますので一概に比較することはできないのではないかと私も思います。
ただ、弁護士としまして、やはりこの弁護士の守秘義務というのは非常に重いものがございますので、それよりも法定刑が、本法律案の秘密保持命令義務違反が重いということについては違和感もございます。
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11渕渕野貴生立命館大学大学院法務研究科教授
お二人の参考人がお答えいただいたところと重なりますけれども、その弁護士やお医者さんの守秘義務については、プライバシー、患者さんのプライバシーや依頼人のプライバシーを守らなくてはいけないという職務に対する信頼感、その職業に対する信頼感というものが保護法益になっているのに対して、今回の秘密保持命令は、司法作用に対する妨害という観点からの保護が求められているということですので、これ一概に比べることはできないというふうに考えますが、そもそもその罰則が付けられているということによる威嚇効果というものが、先ほど意見の中でもありましたけれども、様々な副作用を及ぼさない…
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古庄玄知(自民)
これ、罰則の方を見てみると、秘密漏せつ罪ですか、漏示罪ですか、あれは六月以下の懲役で十万円以下の罰金、で、今回のその提供命令、秘密保持の罰則が一年以下の拘禁刑、それと三百万円以下の罰金、プラス両罰規定、法人も処罰しますよと、そういうふうな規定になっていて、かなり刑法百三十四条に比べて重いんじゃないかなというふうに刑罰の面から見ると思います。
先ほど、成瀬参考人と渕野参考人、法益が違うということを言われました。河津参考人も同じようなあれだと思いますが、私が考えたのは、医者とか弁護士のその職業倫理に照らしたときに、やっぱりその倫理に反して自分を信頼して委ね…
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- (上の発言)
13成成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授
お答え申し上げます。
私は刑事訴訟法を専攻しておりまして、刑法の分野については専門家ではないんですけれども、まず、法制審議会の刑事法部会におきましては、刑法を専攻する研究者の委員、幹事の方もいらっしゃって、この秘密保持命令に違反した場合の法定刑がどうあるべきかということについて慎重に議論が行われたということをまず報告させていただきます。
その上で、この秘密保持命令に違反した場合がなぜ刑法の百三十四条の秘密漏示罪よりも法定刑が重くなっているのかという点について、私の考えを申し上げたいと思います。
先ほどの意見表明の中でも申し上げたとおり、秘密保持命令というのは、情報主体に電磁的記録提供命令が発令されたことが伝わると、逃亡、罪証隠滅が生じるおそれが高いというふうにうかがわれる場合に、そのことを裁判官の事前の許可を得た上で発令するものでございます。
そのような状況、かなり限られた状況でございますので、そのような状況におきまして事業者が情報主体に対してその秘密保持命令に反して当該命令、電磁的記録提供命令が発令されたことを告げた場合には、その逃亡、罪証隠滅という重大な事態が発生することが強く想定されるわけです。しかも、これは捜査の初期段階で使われることもあり得るわけですから、当該事件の真相解明が不可能になってしまうこともあり得るということになります。そのようなことを考えた場合に、まあ法益自体は異なるわけですけれども、今回定められている拘禁刑で一年以下というような形で法定刑を設定することは、私は合理性があるというふうに考えております。
また、罰金額が三百万円以下になっているという点につきましても、今回対象になっているのは電磁的記録を保管している事業者等が念頭に置かれているものですので、刑法百三十四条の個人を対象とする刑罰と法人も念頭に置かれた上での罰金額というのは一概には比較はできないものというふうに考えておりまして、三百万円になっている点についても私は合理性があるというふうに考えております。
以上です。
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古庄玄知(自民)
差押対象物件を第三者が所持していると、その物件を差押えに来ましたよといったときに、人からその物を預かっていて、いや、実はさっき警察が来て、あなたから預かっているものを持っていかれたんだよと。それによって、捜査の初期段階にそれによって捜査ができなくなるという場合もたくさんあるんじゃないかなと思うんですが、今までは差押えの場合はそういう口止めみたいなことはしていなかったのに、今回はそういう口止めみたいな条項を初めて作ったのはどういう意図なのか、その辺について、成瀬参考人、お願いします。
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15成成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授
先生が御指摘のとおり、現在の刑事訴訟法におきましては、捜索差押えを行った場合に、その被処分者が当該差押えがあったという事実を第三者に告げるということを止めるような規定というものはございません。ですので、現行法においては、捜査機関が捜索差押えを実施する場合には、そのような事態が発生し得るということも念頭に置いた上で、いつのタイミングでその強制捜査に着手するかということを考えているものというふうに理解しております。
それに対しまして、今回の電磁的記録提供命令というのは、むしろその現場に対する捜索差押えを行うよりも更に前の段階で事前にある程度情報を把握してお…
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古庄玄知(自民)
今の成瀬参考人の御意見を聞いて、河津参考人と渕野参考人、どのようにお考えなのか、お考えを聞かせてください。
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