吉村忍東京大学名誉教授

2025年6月3日・第217回国会 参議院 内閣委員会 第19号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 38 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 109 発言)

私は現在は会員、また連携会員ではありませんけれども、学術会議の活動に過去参加していたという観点からしますと、現在の学術会議は非常勤で、また選ばれた会員の方もすばらしい研究成果、業績をお持ちの方なんですけれども、同時に、大変お忙しい方ばっかりが参加されているんですね。

ただ、そういう方たちがあえてやっぱり時間をつくり出して参加し、本当に真摯に議論に参加、審議に参加されているというのを見ますと、現在の学術会議というのが、やっぱり日本のため、また世界のためにナショナルアカデミーとしてしっかり機能していますし、そこで審議するということが、ひいては国民のため、社会のためになると。それは、自分が所属している組織の中でただ頑張るだけではできないような活動ができるんだという、そういうプライドを持って参加されているということで今のような活動が成立しているというふうに思います。それを支えているのが、実は、日本の場合には国の組織でありますし、会員を首相が最終的に任命しているということが、実はそのプライドのもとにも私はなっているんじゃないかと思います。

ところが、現在審議されている法人化法案を見ますと、冒頭でも、私の意見陳述でも言いましたけれども、あと先ほどの議論にもありましたけれども、元々こういう話が起こってきたのが、正当に選ばれた候補が任命されなかった、しかもその理由が分からないという状況の下でこれ審議進んでいますので、多くの研究者、科学者あるいはそのコミュニティーの人間からすると、何か政府とこの学術会議というのが対立していて、その結果としてこういう法人化もなされた組織であると。そうすると、その組織に、じゃ、それ選ばれたといってわざわざそこに参加するのかという観点からすると、もうほとんど科学者コミュニティーに対して冷や水を浴びせかけているような状況でこの新法人が、これもし通ると発足しますので、そうすると、事実上、会員が集まらない、あるいは会員というのがなかなか厳しい状況になるということで。

そういう観点からすると、組織だけはつくっても何かほとんど中身のないような組織になる危険性があるということで、やはり、絶対法人化を反対というわけではありませんけれども、先ほどお話あったように、きちっとナショナルアカデミー、五要件を満たすようなものをつくるという、そういう観点であれば法人化というのもあるとは思いますけれども、そういう中身、しっかりと科学者がそこに参加できるような、プライドを持って参加できるような組織にしていただけないといけないかなというふうに思います。現在のナショナルアカデミーである学術会議はその要件を満たしているというふうに思いました。

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