遠藤厚志国立国会図書館調査及び立法考査局国土交通調査室専門調査員

2025年4月10日・第217回国会 衆議院 憲法審査会 第4号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 4 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 48 発言)

国立国会図書館の遠藤でございます。

本日は、枝野会長、また幹事会の先生方からの御指示によりまして、諸外国のフェイクニュース対策について御報告させていただくことになりました。このような説明の機会をいただき、誠にありがたく思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、お配りした資料のうち、A3判の「諸外国・地域のフェイクニュース対策(一般)」及び次のページの「諸外国・地域のフェイクニュース対策(選挙)」と題された資料に沿いまして説明をいたします。なお、この資料は、刊行物やインターネット上の海外情報などを基に、各国の状況を取りまとめたものでございます。また、各国における状況のうち、主として、情報発信者に対する規制と、オンラインプラットフォーム事業者に対する規制を取りまとめてございます。

まず、一枚目の資料に基づきまして、選挙に限らない、各国における一般的なフェイクニュース対策について説明をいたします。

一番左、アメリカでございます。

アメリカにつきましては、連邦レベルでの直接的な規制は成立しておりません。ただ、州レベルでは、カリフォルニア州において、選挙におけるフェイクニュース規制の事例がありますので、後ほど御説明いたします。

次の列の欧州連合、EUです。

EUでは、二〇二四年二月からEU域内で全面適用になりましたデジタルサービス法におきまして、フェイクニュースの規制が定められております。

SNS等を運営する大規模プラットフォーム事業者に対する規制については、そのサービスの利用に起因してEU域内で発生するシステミックリスクに対する自己評価や軽減措置等が義務づけられておりまして、このシステミックリスクの内容として、米印にあります、同法において、違法コンテンツの拡散のほか、基本的権利や選挙等への悪影響などが示されております。そして、今申し上げた自己評価や軽減措置等の義務に違反をした事業者には制裁金が科される可能性があります。

また、その下、欧州委員会は、システミックリスクに対処するための自主的な行動規範の作成を奨励、促進することとされており、その行動規範として、二〇二二年偽情報に関する強化された行動規範があります。

この規範は、元々、関係者の自主的取組として作成されたものでございましたが、二〇二五年になって、デジタルサービス法に言う行動規範として承認されたものであります。

同規範には、例えば、外部のファクトチェッカーと連携するとか、偽情報の提供者に金銭的なインセンティブが生じないようにするといったことが定められております。

そして、同規範に違反した場合には、先ほど申し上げた同法における自己評価や軽減措置等の義務に係る規定に違反していると認定される可能性がございます。

三つ目の列のイギリスです。

イギリスでは、二〇二三年にオンライン安全法が成立しております。

同法において、まず、発信者に対する規制として虚偽通信罪が規定され、内容が虚偽であることを知りながら他の者に危害を与えることを意図して情報を送信する者は罪となります。

また、二つ下の利用者間サービス事業者に対する規制として、違法コンテンツに関してのリスク評価や削除等の安全確保を行うことが義務づけられております。

オンライン安全法における違法コンテンツは米印のいわゆる違法なものであって、偽情報一般は対象とはなりません。ただし、違法コンテンツの中には外国干渉の類型が含まれており、外国の勢力が干渉効果を意図して虚偽の表示を行うと、この外国干渉に該当することになります。

同法に基づき、英国通信庁は、SNSサービス等の事業者に対して情報提供を求めたり是正を命令したりする権限が与えられています。そして、その下のとおり、義務違反をした事業者に対しては制裁金が科される可能性があります。

四つ目の列の台湾です。

台湾では、社会秩序維護法において、発信者に対する規制として、公共の安寧秩序に影響を及ぼすと認められる風説の流布は拘留又は過料の対象となります。

このほか、台湾では、最初の枠の括弧書きのとおり、選挙、災害、感染症等のそれぞれの分野に対応する個別の法律において、発信者に対する規制として、偽情報を流布する行為を禁止することが定められており、罰則も、懲役から罰金、過料まで、それぞれの法律において定められております。なお、このうち、選挙関係は最大で懲役七年と罰則が重くなっております。

このページの最後の列に、参考として日本を掲げております。

日本では、現在、いわゆる情報流通プラットフォーム対処法があり、SNS等を運営するプラットフォーム事業者の義務等について規定されております。

ただし、権利の侵害が生じた場合の発信者情報の開示請求権や、開示の手続方法が定められていたり、また、大規模プラットフォーム事業者に対して、申出の受付窓口を設けること等の義務が課されたりしておりますが、権利侵害に該当しない偽情報一般については、特段の定めはされておりません。

次に、A3資料の二枚目を御覧ください。ここでは、選挙や国民投票関係について、フェイクニュース対策の法律を制定している国、地域について挙げております。なお、アイルランド、カリフォルニア州の法律は未施行又は未執行、フランスの法律は余り活用されていないとも指摘されております。

まず、フランスです。

フランスでは、二〇一八年に情報操作との闘いに関する法律が制定されており、インターネットを利用した選挙運動や国民投票に関する宣伝について、オンラインプラットフォーム事業者に対して規制がかけられております。

具体的には、オンラインプラットフォーム事業者に、コンテンツの宣伝の対価を支払う場合、自然人であれば身元、法人であれば名称、所在地、目的等の情報を利用者に提供することや、宣伝の対価として受領した報酬の総額が定められた金額を超える場合は、当該総額を公表すること等の義務が課されております。

また、投票の真正性に影響を与えかねない、ある事実についての不正確な又は誤解される主張又は非難が大量に配信された場合には、検察官や候補者等からの申立てに基づき、裁判官は配信を中止させる措置を命じることができることとされております。

次の列のアイルランドです。

アイルランドでは、二〇二二年に、二〇二二年選挙改革法が制定されております。

まず、情報発信者に対しては、選挙運動期間中に選挙又は国民投票の結果に影響を及ぼす意図で虚偽の言説等を公表した者のほか、選挙又は国民投票の結果に影響を及ぼすこと等を目的として、ボット、すなわち、自動化されたソフトウェアプログラムでその活動や投稿が実質的に人に起因しないもの、これを使用してオンライン上でのプレゼンスを複数生成させた者は、罰金や拘禁の刑の対象となります。

次に、二つ下のオンラインプラットフォームの運営者への規制として、サービスが偽情報の拡散に使用されている可能性があるなどの場合には、選挙委員会に通知することとされております。

また、大規模なオンラインプラットフォームの運営者は、偽情報等によってもたらされる重大なリスクを特定した報告書を作成して選挙委員会に提出することとされております。

そして、選挙委員会は、オンライン選挙情報を監視し、調査することができるとともに、削除や選挙委員会が調査中である旨の表示等を求めることができることとされております。

表の最後の列、アメリカのカリフォルニア州です。

カリフォルニア州では、州法において、次の規制が課されております。

まず、発信者に対する規制ですが、選挙から六十日の範囲内で、候補者に関する実質的に欺瞞的な音声又は映像媒体を悪意を持って拡散してはならないこととされております。また、選挙の百二十日前から、候補者に関する実質的に欺瞞的なコンテンツを含む広告等を悪意を持って故意に拡散してはならないとされております。

また、その下の大規模プラットフォーム事業者に対しては、次の規制が課されております。すなわち、事業者は、定められた期間内において、選挙関連の実質的に欺瞞的なコンテンツを特定し、削除したり、ラベルを表示したりしなければならないとされております。また、事業者は、カリフォルニア州在住者に対して、実質的に欺瞞的なコンテンツを報告するための容易にアクセス可能な手段を提供しなければならないこととされております。

そして、候補者等は、大規模プラットフォーム事業者に報告を行い、三十六時間以内に事業者から回答がなかったなどの場合においては、差止め命令等を求める訴訟を提起することができることとされております。

最後に、御参考でございますが、各国におけるファクトチェック又は情報の真偽検証活動は、A3の資料の次にありますA4の参考資料、縦置きですが、こちらの4の6に記述しております。

説明は以上でございます。御清聴いただきまして、誠にありがとうございました。

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